こんにちはアロマ薬剤師のふみやです。今回は【アロマでスキンケア】ビタミンEで美肌効果が期待できるキャリアオイルをご紹介したいと思います。
植物から抽出したキャリアオイルには、オーガニックの”恵”である栄養素がたくさん含まれています。アロマテラピーで欠かすことのできないキャリアオイルは、美しい肌へ導いてくれるアイテムのひとつ。そのなかでも美容業界が注目している「ビタミンE」を多く含むのは、どのキャリアオイルなのか。またビタミンEの名前は聞くけれど、肌にどのような効果があるのかもご紹介しますので、ぜひ読んでみてください。
ビタミンEに期待される美肌効果とは
化粧品の成分ラベルによく書いてある「トコフェロール」。それはビタミンEであることはご存知でしょうか?ビタミンEとは4種類のトコフェロールと、4種類のトコトリエノールの合計8種類の化合物の総称です。脂溶性ビタミンであるビタミンEには、優れた”抗酸化作用”、”バリア機能”、”血行促進作用”があり、老化を防ぐ働きがあることからも「若返りのビタミン」とも呼ばれています。ビタミンEは美容面において大切な働きをしてくれます。
老化予防が期待できる抗酸化作用
肌は年齢とともに自然に衰えていくものですが、強い紫外線は肌の細胞にダメージを与えるフリーラジカル(活性酵素)を促進させます。抗酸化作用とは、このフリーラジカルを中和する働きのことをいい、肌荒れ、シミ、シワなどを防ぐために働きかけてくれます。
潤いとハリを与えるバリア機能
バリア機能とは肌が本来持っている防御機能であり、外界からの刺激や紫外線などから肌を保護して、適度な潤いを保つ効果があります。ビタミンEは脂溶性成分であり、バリア機能を担う皮脂膜を安定させる作用があるとされており、肌に潤いとハリを与え、乾燥を防ぐ効果が期待できます。
肌の新陳代謝をアップさせる血行促進作用
ビタミンEには血行の流れをスムーズにする働きがあり、体内のすみずみまで新鮮な酸素と栄養素が届けられるため、肌の新陳代謝を促したり、血行不良からおこる肩こり、冷え性を改善する効果が期待できます。
ビタミンEは「若返りのビタミン」ともよばれ、”抗酸化作用”、”バリア機能”、”血行促進作用”があるため、美肌や老化予防のために良い栄養素なのです
ビタミンEが豊富なキャリオイルとは
キャリアオイルとは植物から抽出した植物油のことで、アロマオイル(精油)の有効成分を運ぶ意味で「キャリアオイル」と呼ばれています。またアロマオイルを希釈するためのベースとなることで「ベースオイル」とも呼ばれたりします。オーガニックの有効成分が高濃度で凝縮されたアロマオイルは、肌に使うには刺激が強く、原液では使えない場合があります。そこで登場するのがキャリアオイル。アロマオイルをキャリアオイルで希釈することで、作用を穏やかにして肌への刺激を減らしてあげる働きがあり、またアロマオイルの有効成分を、効率的に体内に運ぶ大切な役割もあります。アロママッサージでは、アロマオイルをキャリアオイルで希釈して、マッサージオイルとして使うことが一般的です。キャリアオイルはそのものが、豊富な栄養素や有効成分を含んでいる”自然の恵”であると言えるため、そのままマッサージやトリートメントとして使うことも良いです。
キャリアオイルの3つの特徴
- アロマオイル(精油)を希釈し作用を穏やかにする
- アロマオイルの有効成分を効率的に体内に運ぶ
- キャリアオイルそのものが持つ作用を利用する
ビタミンEを豊富に含むキャリアオイル
- カレンデュラオイル
- 小麦胚芽オイル
- アルニカオイル
- カスターオイル(ひまし油)
- アルガンオイル
- ローズヒップオイル
- グレープシードオイル
アロマテラピー研究
「生活の木」で販売されている、22種類のキャリオイルにおけるビタミンEの含有量を測定した。ビタミンEとして4種類のトコフェロール(α、β、γ、δ)、4種類のトコトリエノール(α、β、γ、δ)などを計測。結果としてビタミンEをもっとも多く含んでいるのは、有機カレンデュラオイル1,360mg/kgであり、以下は小麦胚芽オイル1,010mg/kg、有機アルニカオイル819mg/kg、カスターオイル442mg/kg、有機アルガンオイル・バージン431mg/kg、ローズヒップオイル・クリア380mg/kg、グレープシードオイル333mg/kgであり、8種類のビタミンEをすべて含んでいたのは、グレープシードオイルであった。
キャリアオイル名 | ビタミンE含量(mg/kg) |
有機アルガンオイル・クリア | 323 |
有機アルガンオイル・バージン | 431 |
有機アルニカオイル | 819 |
アプリコットカーネルオイル | 320 |
アボカドオイル | 220 |
有機カレンデュラオイル | 1,360 |
椿(カメリア)オイル | 6.1 |
カスターオイル | 442 |
有機月見草オイル | 250 |
グレープシードオイル | 333 |
ホホバオイル・クリア | 21.2 |
ホホバオイル・バージン | 45.4 |
マカダミアナッツオイル | 3.3 |
有機オリーブオイル・エキストラバージン | 213 |
ローズヒップオイル・クリア | 380 |
ローズヒップオイル・バージン | 294 |
セサミオイル(生ゴマ油) | 215 |
シアバター・クリア | 不検出 |
有機セントジョンズワートオイル | 243 |
スイートアーモンドオイル | 252 |
小麦胚芽オイル | 1,010 |
ユズシードオイル | 138 |
カレンデュラオイル、小麦胚芽オイルは1,000mg/kgを超えるビタミンEが含まれています。グレープシードオイルは8種類全てのビタミンEが含まれていて、さまざまな角度から美肌スキンケアとして働きかけてくれるでしょう
ビタミンEが豊富なキャリアオイルの使い方
ビタミンEの働きと、ビタミンEを豊富に含むキャリアオイルを理解したあとは、効果的な使い方を学習しましょう。オーガニックの”恵”を活用することによって、アロマテラピーを使った美肌スキンケアができるようになります。
キャリオイルをそのまま、少量のアロマオイルを加える
カレンデュラオイル、小麦胚芽オイル、アルニカオイル、カスターオイル(ひまし油)、アルガンオイル、ローズヒップオイルには、ビタミンEをはじめ、数多くの栄養素を含んでいるため、キャリアオイルをそのまま使ったり、キャリアオイルとキャリアオイルをブレンドする、キャリアオイルと少量のアロマオイルをブレンドすると良いでしょう。アロマオイルを加えるときは、キャリアオイル20mlに対して1〜2滴がオススメ。ボディケア、ヘアケア、フェイスケアとして使ってみてください。
カレンデュラオイル
日本名で”キンセンカ”、欧米では”マリーゴールド”の名前を持つ、オレンジや黄色の花が特徴的なカレンデュラ。オリーブオイルなどの植物油に漬け込んで有効成分を侵出させることからも、ビタミンEなどの豊富な栄養素を含み、肌荒れを抑える作用に優れています。そのまま全身のトリートメントとして使うことも良いでしょう。
小麦胚芽オイル
コムギの胚芽を原料とする希少な小麦胚芽オイル。天然の抗酸化剤といわれるビタミンEを豊富に含み、活性酸素による老化を予防する効果に優れています。小麦胚芽オイルには、プロビタミンA、ビタミンB、ミネラルなどの栄養素も含まれているため、肌のターンオーバーを促したり、血液循環を助ける作用も期待できます。香ばしいような香りは個性的であるともされるため、ほかのキャリアオイルとブレンドして、20%以下になるようにして使うと良いでしょう。
アルニカオイル
打撲や青アザにとても優れた作用を持つアルニカオイル。そのまま使うことはもちろん、ヘリクリサムやペパーミント、ローレルなどのアロマオイルとブレンドすることによって、筋肉の緊張を和らげたり、腫れや炎症を抑えたるために利用できます。ボディケアやヘアケアとして使うと良いでしょう。
カスターオイル(ひまし油)
クレオパトラが美容のために使用し、アーユルヴェーダでは伝統療法として用いられたカスターオイル。さまざま外傷に対して効果的であるとされ、青あざや捻挫をはじめ、シミを消すなどの作用が期待できるため、ボディケアにオススメです。そのほかにも爪を強くする働きがあるともされているため、ネイルケアにも良いでしょう。
アルガンオイル
モロッコのアトラス山脈にだけ自生する高木であるアルガン。大量の実から少量しか採取できない希少なアルガンオイルは、古くから美容効果に優れていることが注目され、”モロッコの黄金”、”自然最高の老化予防薬”とも呼ばれてきました。トコフェロール(ビタミンE)を豊富に含み、抗酸化作用で肌の老化を防ぐ、皮膚の血液循環を促してくすみを改善するなど、肌に活力を与えて、美しい肌へと回復・再生するために働きかけます。ボディケア、フェイスケアだけでなく、ネイルケア、乾燥ケア、日焼け止めなどにも効果的です。
ローズヒップオイル
世界のセレブが愛用していることで有名となったローズピップオイル。薔薇の実から抽出されるローズヒップオイルは、そのほとんどが美容成分で構成されるともされ、豊富なビタミンや抗酸化作用をもった成分が含まれます。コラーゲンの生成を促したり、肌のターンオーバーを促す作用などにより、シワ、シミ、たるみなどの肌老化を抑え、ハリのあるしなやかな若々しい肌にするため働きかけてくれます。そのなかでもニキビや皮膚再生作用は俊逸。酸化しやすいオイルでもあるため、開封後は3ヶ月を目安に使いきりましょう。
アロマオイルを加える
グレープシードオイルは、8種類すべてのビタミンEを含む素晴らしいキャリアオイルです。アロママッサージとしても汎用されるグレープシードオイル20mlに、アロマオイル4滴程度加えて、ボディケアやフェイスケアとして使うと良いでしょう。
グレープシードオイル
グレープシードオイルは、ワインの醸造後に残ったブドウの種を圧搾して作られます。リノール酸が60%以上含まれることからも、高い抗酸化作用をもち、ビタミンEやポリフェノールなどの栄養素も豊富なため、肌老化防止に効果的。軽くサッパリとした使用感でフェイスケアはもちろん、ボディケアとしてアロママッサージにも好まれます。
良質なキャリアオイルを選ぶ
オーガニックの”恵”が詰まったキャリアオイル。どのブランドから購入して良いかわからないときは、生活の木、プラナロム/健草医学舎、ニールズヤードなどのアロマ専門店から購入すると良いでしょう。厳しい品質検定を行なっている良質なキャリアオイルを取り扱っています。ご紹介した研究で使われていたのは、生活の木のキャリアオイルです。
そのほかのキャリアオイルや、キャリアオイルの詳しい使い方を知りたい方は、こちらを参考にしてみてください→【アロマに欠かせないキャリアオイルの使い方】10種類効能一覧から選ぶ
いかがだったでしょうか?
「【アロマでスキンケア】ビタミンEで美肌効果が期待できるキャリアオイル」をご紹介させていただきました。キャリアオイルには多くの栄養素が詰まっており、最近注目されているビタミンEを豊富に含んでいるものがあります。簡単な方法で、アロマ美肌スキンケアとして活用することができますので、ぜひ試してみてください。ご紹介した内容が皆さんのお役に立てると嬉しいです。
参照:「キャリアオイル中のビタミンEおよびフィトステロール含量」アロマテラピー学雑誌 22(2), 37-46, 2021