こんにちは、アロマ薬剤師のふみやです。超高齢社会の日本において、65歳以上の4人に1人が認知症高齢者だといわれています。多くの方がご自身が認知症になるのではないかと心配したり、身近な人が認知症になってしまい困っているなどのご経験があるのではないでしょうか？
認知症予防にはさまざまは薬剤が開発されてはいるものの、根本の解決には至っていません。そのような中で2020年秋田大学の高橋裕哉先生より、アロマテラピーによって認知症予防効果が確認された研究論文が発表されましたのでご紹介したいと思います。
秋田スギの香りによる認知機能への影響
秋田大学の高橋裕哉先生らは、秋田スギのアロマテラピーによりアルツハイマー型認知症（AD）患者さんの認知症状が改善するかについて検討を行いました。
研究内容
アルツハイマー型認知症患者36名を対象に、秋田スギの葉から抽出した芳香成分を使用した群と使用していない群で、8週間後の認知機能および行動機能を比較した。アロマテラピーはルームフレグランスとスプレーとして用いて、生活スペースや衣服に香りを添加した。
研究での指標として認知症における行動・心理症状を測定するために「NPI」、介護する人の負担を測定するために「J-ZBI」、認知機能を評価するため「ADAS-cog」が使われました。
研究結果
秋田スギの香りを使用した群では、使用していない群と比べて4週目と8週目のNPIスコアおよびJ-ZBIの有意な改善が認められた。ADAS-cogのスコアでは有意な差は認められなかった。研究を実施した高橋先生らは「秋田スギの香りは、アルツハイマー型認知症患者の周辺症状を改善し、介護負担を軽減する可能性がある」と述べています。
参照；Examination of the influence of cedar fragrance on cognitive function and behavioral and psychological symptoms of dementia in Alzheimer type dementia
アロマテラピーが認知症の症状に効果がある理由
今回ご紹介した研究では秋田スギのアロマテラピーが、アルツハイマー型認知症の症状改善と介護をする方の負担を軽減する結果が得られました。
認知症の中でも最も多いのが、記憶力や思考力が衰えていく「アルツハイマー型認知症」であり、具体的な症状としてもの忘れなどがあります。アルツハイマー型認知症は嗅覚が衰えていくことがわかっており、認知症と嗅覚には密接な関係があるとされています。ご紹介した研究ではアロマテラピーによって嗅覚から、記憶をつかさどる「海馬」に刺激を与え認知機能が改善したと考えられます。他にもアロマテラピーによって認知症患者さんの症状が改善された研究データが発表されています。研究内容や嗅覚に関して詳しく知りたい方はこちらを参考にしてみてください。
スギの香りによる認知症予防【アロマテラピーの使い方】
研究をもとにアロマテラピーをご家庭でも使えるように簡単な方法をご紹介していきたいと思います。秋田スギのアロマオイル（精油）はあまり流通していませんが、秋田県のショップの「アトリエアンダンテ」や「アプリトリップ」などで購入が可能です。秋田スギのアロマオイルは認知症患者さんの症状改善目的だけではなく、自分自身や大切な方への「ぼけ」防止、介護で疲れた気持ちのリフレッシュにも活躍してくれると思います。
秋田スギは「木曽のひのき」「青森のひば」と並ぶ日本三大美林のひとつです
アロマオイルの使い方
秋田スギのアロマオイル（精油）をアロマディフューザーやアロマストーンを使ってリビングや寝室に置き、香りを楽しむ方法がおすすめです。アトリエアンダンテからは、秋田スギのアロマオイルが発売されているだけでなく、季節ごとに他のアロマオイルとブレンドされた商品も発売されていますので、季節によって香りの変化を楽しむことができます。
アロマシール
生活の木などから発売されている「アロマシール
いかがだったでしょうか？
「スギの香りによる認知症予防【研究論文で発表されたアロマオイルの効果】」をご紹介させていただきました。アロマテラピーが皆さんの大切な方やご自身のためにお役に立てると嬉しいです。
