こんにちはアロマ薬剤師のふみやです。今回は【禁煙に効果的なアロマテラピー】4種類の香りが禁煙成功をサポートをご紹介したいと思います。
”百害あって一利なし”とよばれるタバコ。喫煙しないことが、健康的にも経済的にも良いことはわかっていてもやめられない、またパートナーや家族がやめてくれない。そのような悩みを持っている人も少なくないのではないでしょうか？アロマテラピーで用いられるアロマオイルには、心地よい香りで人々に癒しを与えてくれるだけでなく、禁煙をサポートして健康に導くためにも効果的です。禁煙のためにアロマテラピーが用いられた研究が、世界中で発表されていますので、研究でも使用された4種類のアロマオイルと、簡単な使い方をご紹介したいと思います。
禁煙成功をサポートする4種類のアロマオイル
アロマオイルの香りは、タバコを吸いたいイライラ、気分が落ち着かない、集中できないなどの、禁煙にチャレンジしたときにおきる症状に効果的であるとされています。その理由として、アロマテラピーによる香りの刺激が、人の”欲求”に大きく影響を与えるためです。
アロマテラピーが禁煙成功に良い理由とは？
五感のなかで、嗅覚だけが「ダイレクトに脳に伝わる感覚器」と言われているのはご存知でしょうか？香りは嗅覚を通じて脳の中にある大脳辺縁系（海馬や扁桃体など）に直接伝わります。大脳辺縁系は発生学的に古い脳であり、扁桃体は人間本来の”感情”、”本能”を司っているため、好き嫌い、心地よいと感じる、不快と感じるなどの感情。睡眠欲、食欲、性欲などの本能に、香りによる刺激が大きく影響を及ぼすとされています。
たとえば好きな香りを嗅ぐとストレスが緩和されて安心したり、初対面の人であっても、その人の香りで「この人好き！」、なぜかわからないけど「生理的に嫌い！」などのように判断したりと、誰しもそのような経験したことがあるのではないでしょうか？このような香りによる脳への刺激は、人の”感情”、”本能”に影響を与えるため、心地よいアロマオイルの香りは、嗅覚を通じてダイレクトに脳に伝わることで、タバコを吸いたいイライラや、落ち着かない気分を抑えるために、効果的な手段となってくれるのです。
禁煙に効果的な4種類のアロマオオイル
- ブラックペッパー（ペッパー）
- ペパーミント
- グレープフルーツ
- ラベンダー
アロマテラピーを用いた禁煙サポートを目的とする研究は、日本だけでなく世界中で報告されており、禁煙率を83%維持することができた結果や、平均喫煙本数を33%低下するなどの結果があります。上記の4種類のアロマオイルは、タバコを吸いたいイライラ、気分が落ち着かない、集中できないなどの、禁煙症状を緩和するために、心強い味方となってくれます。
香りによる刺激は、感情や本能に影響を与えることがわかってるため、アロマテラピーを使うことで、禁煙成功をサポートしてくれるのです
禁煙するメリットとは？
厚生労働省のデータでは、2019年時点の全国喫煙率は16.7%、男性では27.1%、女性では7.6%とされています。健康被害が周知されたこと、健康増進法により屋内施設での喫煙ができなくなったこと、タバコ価格の上昇などにより、ここ10年で喫煙者数は減少しており、禁煙社会に向けて日本も動き出しています。
タバコの健康被害とは？
タバコは体にさまざまな影響を与えます。タバコによって肺がんの発症リスクが上昇することは有名ですが、そのほかにも咽頭がん、肝臓がん、膵臓がん、膀胱がんなど、タバコの煙が通る全ての臓器に悪影響を与えることがわかっています。また心臓病、脳卒中、肺炎のリスクが上がり、日本人の死因上位4つに影響を与えているのがタバコなのです。喫煙による肺がんのリスクは5.5倍であるともされ、寿命が8〜10年短くなるというデータもあります。
タバコによる経済的損失とは？
タバコによる経済的損失は全体で2兆円を超えるともされています。タバコが原因でおこる病気（がん、心臓病、脳卒中など）にかかる医療費、それらの病気によって必要になった介護費用などが含まれます。タバコによる経済的損失はそれだけでなく、タバコの出費にも多額のお金がかかります。1日1箱を喫煙する人であれば、1ヶ月で500円×30日の15,000円、1年間180,000円、20年間で360万円ものお金をタバコに費やしている計算になります（1箱を500円とした）。ご自身やご家族の健康のため、経済的損失を減らすためにも禁煙は大切であることは明白です。
禁煙するメリット
禁煙することで、健康被害のリスクや経済的損失を減らすことができます。健康であれば大切な家族と過ごす時間や、旅行やスポーツなどの趣味を楽しむことができ、元気に年齢を重ねることができるでしょう。タバコ代を節約すれば、1ヶ月1万円以上を美味しい食事に使うことができますし、1年間18万円を旅行にも使うこともできるでしょう。禁煙するメリットはそれだけでなく、食事が美味しく感じたり、口臭が減ったり、歯茎や肌が綺麗になります。禁煙することのメリットはたくさんあるのです。
- 健康な体に変わる
- 料理が美味しく感じる
- 貯蓄することができる
- 歯茎や肌が綺麗になる
喫煙のリスク、禁煙のメリットは計り知れません。離脱症状を乗り越えて、禁煙を成功させましょう
効果的な禁煙アロマテラピーの使い方
喫煙することのリスク、禁煙することのメリットを理解した後は、禁煙にチャレンジしてみましょう！禁煙を成功させるためには、タバコを吸いたいイライラ、気分が落ち着かない、集中できないなどの、禁煙にチャレンジしたときおこる離脱症状（禁断症状）を乗り越えなければなりません。そこで心強い味方となってくれるのがアロマテラピーです。心地よい香りは離脱症状を緩和するために働きかけてくれ、禁煙をサポートしてくれます。
禁煙アロマテラピーの使い方
ディフューザーやアロマストーンを使って、アロマオイル（精油）の香りを部屋に満たしてあげると良いでしょう。特にタバコを吸いたくなる食事の後、ストレスを感じたときには、心地よい香りでリラックスさせてあげましょう。コットンやティッシュにアロマオイルを2滴垂らして、深呼吸するように吸い込む方法も、簡単にできて効果的なのでオススメです。そのほかにもガラス瓶にキャリアオイル10mlをいれ、アロマオイル4滴加えて、トリートメントオイルを作っておくことも良いです。作ったトリートメントオイルを、耳の裏や首筋に塗っておくことで、香りを持ち運ぶことができ、タバコを吸いたいと思わなくさせてくれます。ブラックペッパー（ペッパー）、ペパーミント、グレープフルーツ、ラベンダーのアロマオイルを使った、アロマテラピーでホッとできる時間を演出しましょう。
禁煙を成功させるために、アロマテラピーを用いるときは、精油もしくはエッセンシャルオイルと記載された良質なアロマオイルを選ぶようにしましょう。安価なアロマオイルは合成香料が使用されているため、サポート効果があまり期待できません。プラナロム/健草医学舎、ニールズヤード、生活の木などの、アロマ専門店がオススメです
ブラックペッパー（ペッパー）
料理のスパイスとして有名なブラックペッパーは、インド原産の植物です。食用のイメージが強いブラックペッパーですが、4,000年前から東洋医学・漢方医学にも用いられてきました。ブラックペッパーのアロマオイルは、刺激的でスパーシーな香りが特徴的で、心を活性化させ、やる気を起こしてくれます。禁煙によって、イライラしてしまったとき、集中できないときに使うと、頑張るためのパワーを与えてくれるでしょう。男性的なワイルドさを出すときに、香水などにも使用されるため、甘い香りが苦手な男性にもオススメのアロマオイルのひとつです。吸いたいイライラなどの離脱症状を緩和する効果や、喫煙本数を減らす効果などが研究でも報告されています。
ブラックペッパー（ペッパー）はこんな人にオススメ
- スパイシーで刺激的な香りでイライラを乗り越えたい
- 禁煙するためのモチベーションを上げたい
- 仕事や勉強に集中したい
- 香りの相性が良いアロマオイル：ユーカリ、クローブ、シナモン
ペッパーミント
スッキリとした爽快感のある香りで、多くの人に親しまれるペパーミントは、歯磨き粉やガムなどに用いられることでもお馴染み。スペアミントとウォーターミント交配種であるとされ、古くから食用・薬用としても世界中で親しまれてきました。身体がダルいときなど、気分が落ち着かないときのリフレッシュには、ペパーミントの爽やかな香りがピッタリ。ペパーミントに含まれる「メントール」が、ニコチン性アセチルコリン受容体に作用することで、禁煙による離脱症状を抑えるとされています。そのほかにも緊張による腹痛の緩和、吐き気を抑える作用、頭痛・偏頭痛の緩和など、数多くの効果が研究報告されおり、忙しいビジネスパーソンにはオススメのアロマオイル。
ペパーミントはこんな人にオススメ
- スッキリした爽やかな香りでリフレッシュしたい
- 離脱症状を抑えて、効率的に仕事がしたい
- 腹痛、吐き気、頭痛に困っている
- 香りの相性が良いアロマオイル：柑橘系、ローズマリー、ゼラニウム
グレープフルーツ
果実がブドウの房のように実ることから、グレープの名前が付いたグレープフルーツ。そのみずみずしいフレッシュな香りは、幸せホルモンとよばれる「セロトニン」を増やす作用があり、楽園にいるかのような陽気な気分にさせてくれます。グレープフルーツに含まれる「ヌートカトン」や「リモネン」には、交感神経を活発にして元気を与えてくれる作用があるとされており、食欲抑制作用、脂肪燃焼促進作用なども報告されています。禁煙によって食欲が抑えられないときや、ダイエットのサポートにも嬉しいアロマオイル。スポーツをしているときにグレープフルーツの香りを使うことで、運動がキツいと思う気持ちを軽減してくれるため、運動嫌いの人にもオススメのアロマオイルです。
グレープフルーツはこんな人にオススメ
- 柑橘系の香りで明るい気持ちになりたい
- 禁煙による食欲増加を抑える、ダイエットのサポート
- 運動が嫌い、運動不足
- 香りの相性が良いアロマオイル：コリアンダー、サイプレス、ラベンダー
ラベンダー
アロマテラピーの万能精油ともよばれ、多くの人に親しまれているラベンダー。なかでも真正ラベンダー（ラベンダー・アングスティフォリア）の品種は、爽やかな甘酸っぱい香りが特徴で、最もラベンダーらしい香りと称されます。ストレス緩和と安眠を導く代表格でもあるラベンダーには、「リナロール」や「酢酸リナリル」が含まれており、乱れがちな自律神経を整えて、禁煙によってイライラする気持ち、落ち着かず揺らぐ心を穏やかに保ってリラックスさせてくれます。ヨーロッパでは鎮静剤としても用いられ、禁煙のサポートにはもちろん、心地よい眠りに導く作用もあるので、寝付きの悪い人にもオススメです。
ラベンダーはこんな人にオススメ
- 爽やかな甘酸っぱい香りに包まれたい
- 禁煙でイライラする、気分が落ち着かない
- 不安や緊張を感じる、寝つきが悪い
- 香りの相性が良いアロマオイル：オレンジスイート、クラリセージ、パルマローザ
いかがだったでしょうか？
「【禁煙に効果的なアロマテラピー】4種類の香りが禁煙成功をサポート」をご紹介させていただきました。禁煙することで、健康な体を手に入れることができ、経済的にもメリットが盛り沢山。禁煙を成功させるためには、離脱症状を乗り越えないといけませんが、オーガニックの有効成分が詰まったアロマオイルの香りが、禁煙をサポートしてくれます。ぜひアロマテラピーを取り入れてみてください。ご紹介した内容が皆さんのお役に立てると嬉しいです。
研究参照：Inhalation of vapor from black pepper extract reduces smoking withdrawal symptoms、Brody AL1, Mukhin AG, La Charite ,et al:Int J Neuropsychopharmacol、アロマの心理的効果における喫煙者と非喫煙者の違いの検討、日常のさまざまな不快症状に効くアロマセラピー医師がすすめる「アロマセラピー」決定版
