こんにちはアロマ薬剤師のふみやです。今回は「アロマが糖尿病に良い理由とは?血糖を下げるサポートをしてくれる香り」をご紹介したいと思います。
日本国民の5〜6人が糖尿病の危険があるとされ、国民病ともよばれる糖尿病。なかでも2型糖尿病は生活習慣病のひとつであり、過食、運動不足、肥満、ストレスなどといった生活習慣的な要因が関係しているとされています。年齢を重ねるとともに運動不足などで生活習慣が乱れてしまい、血糖値が高くなってきたと、心配されている人もいらっしゃるのではないでしょうか?そんなときはアロマテラピーがおすすめ。アロマテラピーの心地よい香りには、人々をリラックスさせるだけでなく、直接的にも血糖を下げるためのサポートとして働きかけてくれます。心身のケアとして活躍してくれるアロマオイルと使い方をご紹介しますので、ぜひ読んでみてください。
糖尿病とはどんな病気?
誰でも食事をすると、一時的に血糖値が高くなりますが、「インスリン」というホルモンが膵臓から分泌されることによって、時間とともに正常値に戻ります。このインスリンの分泌量が少なくなったり、インスリンが分泌されてもうまく働かなくなったりすることで、血糖値が高い状態が続いてしまうことが”糖尿病”です。
糖尿病の初期症状として、頻尿、多汗、のどが乾くなどの症状が現れますが、もっとも怖いのは血糖値が高い状態が続くことによって、三大合併症とよばれる、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症が起こることです。糖尿病神経障害では、神経細胞に血液が届かなくなり、全身の神経に障害がおきることで手足の切断することもあり、糖尿病網膜症では失明のリスク、糖尿病腎症では人工透析をおこなわなければならないこともあります。また大血管障害とよばれる、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞なども、糖尿病と密接に関係しています。
糖尿病の初期のころは自覚症状がほとんどないため、糖尿病に気がつかないこともあります。血糖値が高い場合は放置せず、クリニックに受診したり、生活習慣を改善したりとケアが必要です
糖尿病2つのタイプ
糖尿病には主に2つのタイプがあり、1型糖尿病、2型糖尿病にわかれます。1型糖尿病はインスリン欠乏による糖尿病であり、膵臓がインスリンをほとんど、あるいはまったく作ることができません。糖尿病患者さんのうち、1型糖尿病は10%以下であるとされ、90%以上が2型糖尿病になります。2型糖尿病はインスリンの量が十分ではない(インスリン分泌不全)か、作られたインスリンが十分に作用しません(インスリン抵抗性)。2型糖尿病は家族に糖尿病患者さんがいるなどの遺伝要因や、過食、運動不足、肥満、ストレスなどの生活習慣乱れによる環境要因が密接に関わっており、正常〜肥満体型の中高年に多くみられます。
2型糖尿病の主な症状
- 疲労感
- 空腹感やのどの渇き
- 皮膚の乾燥
- 手足の感覚が低下する
- 頻尿
- 目がかすむ
- 性機能の問題(ED)
- 切り傷などが治りにくい
血糖値を低下させるためのケア
血糖値を低下させるためには、栄養バランスのとれた食事や、規則正しい生活、有酸素運動などが効果的です。またドイツの研究ではストレスが、糖尿病のリスクを45%も上昇させるともされており、ビジネスパーソン、家庭を守る主婦など、忙しい人だからこそ心身のケアが必要になるのです。
アロマテラピーによる糖尿病ケアサポート
血糖値が上昇してしまう原因として、過食、運動不足、肥満、ストレスなどといった生活習慣的の乱れがありますが、アロマテラピーを活用することによって、それらをケアして血糖値を下げるサポートとして働いてくれるとともに、心地よい香りで心身をリラックスさせてくれます。血糖値が気になる人におすすめのアロマオイルと使い方をご紹介します。
ラベンダー
アロマテラピーの万能精油ともよばれ、多くの人に親しまれているラベンダー。なかでも真正ラベンダー(ラベンダー・アングスティフォリア)の品種は、爽やかな甘酸っぱい香りが特徴で、最もラベンダーらしい香りと称されます。ストレスや緊張を和らげたり、安眠を導く代表格でもあるラベンダーには、「リナロール」や「酢酸リナリル」の成分が含まれており、乱れがちな自律神経を整えて、心を穏やかに保ってリラックスさせてくれます。ヨーロッパでは鎮静剤としても用いられるラベンダーは、心身ケアに対して効果的であるとの数多くの研究結果があり、精神的なケアや、寝付けないなどの睡眠トラブル解消に心強い味方となってくれます。
ラベンダーはこんな人にオススメ
- 爽やかな甘酸っぱい香りに包まれたい
- ストレスがたまっている、夜ぐっすり眠れない
- 香りの相性が良いアロマオイル:ベルガモット、クラリセージ、マジョラム
- オススメの使い方:芳香浴、アロマバス、アロママッサージ
ラベンダーのおすすめレシピ
ラベンダー・アングスティフォリアは芳香浴だけでなく、アロマバス、アロママッサージなど、さまざまな使い方ができるアロマオイルです。忙しくて自律神経が乱れがちな人や、夜ぐっすり眠れない人は、アロマディフューザーで寝室に香りを満たしてあげても良いですし、アロマバスもオススメ。天然塩大さじ3杯に、ラベンダーのアロマオイルを3〜4滴垂らすだけで、簡単にバスソルトを作ることができます。仕事や勉強などで疲れた心身をケアしてくれる作用を持つ、マジョラムとブレンドしても良いでしょう。そのときはラベンダー2〜3滴、マジョラム1〜2滴が香りのバランスがとれた割合になります。天然塩のほかにもバスオイルとブレンドしても簡単にアロマバスを楽しむことができます。
ペパーミント
スッキリとした爽快感のある香りで、多くの人に親しまれるペパーミントは、歯磨き粉やガムなどに用いられることでもお馴染み。スペアミントとウォーターミント交配種であるとされ、古くから食用・薬用としても世界中で親しまれてきました。ペパーミントの爽やかな香りは、交感神経を高めてやる気を引き出してくれだけでなく、空腹感を感じにくくするとされています。アメリカのウィーリンジーザス大学の研究において、5日間の総摂取カロリーが3,485kcalも減少したとの報告があるほど。そのほかにも吐き気を抑える作用や、ストレスによる腹痛、頭痛の緩和など、数多くの作用が研究報告されています。これらはペパーミントに含まれる香り成分「メントール」の働きが関与しているともされており、さまざまな使い方ができるため、家庭に1本は置いておきたいアイテムのひとつです。
ペパーミントはこんな人にオススメ
- 爽快感のあるスッキリした香りが好き
- 食欲を抑えられない、腹痛・吐き気・頭痛に困っている
- 香りの相性が良いアロマオイル:柑橘系、ローズマリー、ユーカリ
- オススメの使い方:芳香浴、アロママッサージ
ペパーミントのおすすめレシピ
ペパーミントは芳香浴として香りを活用することがオススメです。食欲を抑えられない人は、食事前や食間に香りを使ってみましょう。アロマストーンに5滴垂らして香りを楽しんでも良いですし、ティッシュなどに2滴垂らしても使うことができます。ティッシュにアロマオイルを垂らす方法は、仕事や勉強でイライラしたときなどの休憩時間にも簡単に使うことができ、ペパーミントの香りが心身をリフレッシュさせてくれます。ペパーミントとオレンジスイートを1滴ずつブレンドして使うと、爽やかでフレッシュな気分になります。
グレープフルーツ
果実がブドウの房のように実ることから、グレープの名前が付いたグレープフルーツ。そのみずみずしいフレッシュな香りは、幸せホルモンとよばれる「セロトニン」を増やす作用があり、楽園にいるかのような陽気な気分にさせてくれます。グレープフルーツに含まれる「ヌートカトン」や「リモネン」には、交感神経を活発にして元気を与えてくれる作用があるとされており、食欲抑制作用、脂肪燃焼促進作用なども報告されています。血糖値を下げるサポートに加え、嬉しい作用を多く持っています。そのほかにもスポーツをしているときにグレープフルーツの香りを使うことで、運動がキツいと思う気持ちを軽減してくれるため、運動嫌いの人やダイエットにも使えるアロマオイル。
グレープフルーツはこんな人にオススメ
- 柑橘系の香りで明るい気持ちになりたい
- 食欲を抑えられない、運動が苦手
- 香りの相性が良いアロマオイル:コリアンダー、サイプレス、ラベンダー
- オススメの使い方:芳香浴、アロママッサージ
グレープフルーツのおすすめレシピ
グレープフルーツはアロママッサージとして使うことがオススメ。柑橘系のフレッシュな香りとともに、脂肪燃焼作用やむくみの改善なども期待できます。ガラス瓶にキャリアオイルを10mlいれ、グレープフルーツのアロマオイルをと1〜2滴加えて、軽く混ぜ合わせるだけで、簡単にマッサージオイルを作ることができます。全身や気になる部分を優しくさするようにマッサージしてあげてください。血糖値を下げる作用をもつとされるローズマリーとブレンドしてもよしです。グレープフルーツのアロマオイルには、日光にあたるとシミになってしまう光感作作用をもつフロクマリンが含まれているため、マッサージした後の4時間は外出を控えるようにしましょう。
シナモン
世界最古のスパイスともよばれるシナモンは、紀元前4000年頃前からミイラの防腐剤として、エジプトで使われ始め、日本では正倉院に宝物として奉納されたり、薬物としても古くから利用されてきました。甘くスパイシーな香りは気分を高揚させ、憂鬱な気分を忘れさせてくれます。シナモンに含まれるシナモンアルデヒド、オイゲノール、ベータカリオフィレンは、糖の代謝を活発化させることが研究報告されており、からだを温める作用があることからも、血糖値を下げるサポートだけでなく、脂肪燃焼作用も期待できます。アロママッサージやアロマバスとして効果的なアロマオイルです。
シナモンはこんな人にオススメ
- 甘くスパイシーな香りに癒されたい
- 憂鬱な気持ちになる、最近太ってきた
- 香りの相性が良いアロマオイル:オレンジ、サイプレス、フランキンセンス
- オススメの使い方:芳香浴、アロママッサージ、アロマバス
シナモンのおすすめレシピ
シナモンの糖の代謝をアップさせ、体を温める作用を活用するためにはアロママッサージ、アロマバスがオススメ。ウッディ調の香りであるサイプレスとブレンドしても香りの相性がよく、リンパの流れを良くして、むくみの改善にも効果的なのでブレンドして使ってみても良いでしょう。
血糖を下げるサポートに使いたいアイテム
血糖を下げるために心身ケアに使いたいアロマテラピー。心地よい香りで癒しを届けてくれるだけでなく、さまざまな角度から働きかけてくれます。アロマテラピーを使うときに重要なのがアロマオイル選びです。
さまざまなメーカーのアロマオイルが流通していて、どのブランドを選んでよいか悩んでしまうときは、プラナロム/健草医学舎、生活の木、ニールズヤードなどの、アロマ専門店のアロマオイルがおすすめです。なかでもプラナロム/健草医学舎のアロマオイルは、オーガニックでありながら有効成分の管理も徹底された良質なアロマオイル(精油)を取り扱っており、アロマテラピー経験者からも人気のブランドです。良質なアロマオイルには、医薬品にも用いられる有効成分が含まれており、その有効成分が血糖を下げるために働きかけてくれます。そのため良質なアロマオイルを選ぶことが大切。安価なアロマオイルは合成香料が使用されているため、研究報告されているような作用があまり期待できませんので、せっかく使うのであれば良質なものを使うようにしましょう。
マカデミアオイル
アロママッサージのキャリアオイルとして使いたいのが、マカデミアナッツオイル(マカダミアナッツオイルともよばれる)。マカデミアオイルには血糖値の上昇を抑えることが研究報告されており、インスリン抵抗性や動脈硬化の改善に働きかけてくれるパルミトレイン酸が豊富に含まれています。血糖値が気になる人はアロマオイルとマカデミアオイルをブレンドすることがおすすめです。
いかがだったでしょうか?
「アロマが糖尿病に良い理由とは?血糖を下げるサポートをしてくれる香り」をご紹介させていただきました。日本国民の5〜6人が糖尿病の危険があるとされ、国民病ともよばれる糖尿病のケアには、生活習慣の改善が効果的です。アロマテラピーには心地よい香りで心のケアをしてくれるだけでなく、血糖値を下げるために働きかける有効成分が含まれています。簡単な方法でもアロマテラピーを使うことができますので、ぜひ試してみてください。ご紹介した内容がみなさんのお役に立てると嬉しいです。
研究参照:Antidiabetic Potential of Volatile Cinnamon Oil: A Review and Exploration of Mechanisms Using In Silico Molecular Docking Simulations、マカダミアナッツオイルのインスリン感受性亢進作用、In vivo assessment of antidiabetic and antioxidant activities of rosemary (Rosmarinus officinalis) in alloxan-diabetic rabbits