こんにちはアロマ薬剤師のふみやです。今回は【レモングラスが認知機能改善に効果的】認知症を癒すアロマブレンドをご紹介したいと思います。香りによる嗅覚の刺激は記憶と密接に関係していますが、アロマテラピーは国内外において「認知症予防のための研究」が数多く行われているのはご存知でしょうか?
そのなかでもレモングラスは認知症の症状に対して効果的であることがわかっています。心地よい香りのアロマオイルで認知症対策ができるのであれば、ぜひとも取り入れたいものですね。
認知症に効果的なレモングラスの香り
星薬科大学教授の塩田先生らが行なった研究において、レモングラスのアロマオイル(精油)に、認知症患者さんの認知機能を改善する効果が認められました。
レモングラスのアロマオイルには、脳の前頭葉の血流量を増加させて、脳を活性化させる作用があります。前頭葉は脳の司令塔ともよばれ、思考や想像力、やる気、記憶、行動などに影響する重要な部位です。そこにレモングラスの香りがアプローチすることで、記憶力や集中力をアップさせ、認知症改善役立つと考えられています。高齢者施設での研究においても、レモングラスの香りを使うことによって、夜間のナースコールが減少したり、昼間の活動が活発になり、夜の入眠がスムーズになったなどの報告があります。
塩田先生らが行なったアロマテラピー研究
認知症を発症している要介護者25名(平均90歳)を対象に、レモングラスとベルガモットのアロマオイルをブレンドし、日中に2時間、12日間芳香浴を行い認知機能を評価した。結果として認知機能の改善が認められ、周囲への関心、不安、幻覚、妄想といった精神症状や不眠が緩和された。
ご紹介した研究以外にも数多くの認知症に対するアロマテラピーの研究が行われています。ぜひこちらの記事も参考にしてみてください→【記事まとめ】認知症予防に効果的!アロマの香りが癒す症状別ブレンド
参照:Recent advances in Aromatherapy for dementia / journal of aroma science technology and safety 15(2), 103-107, 2014
アロマテラピーが認知症に効果的な理由とは
認知症には「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」などがあり、65歳以上の日本人の4人に1人が認知症になり、その中で約60%がアルツハイマー型の認知症であるとされています。認知症では、記憶や認識、判断などの認知機能が低下し、もの忘れ、時間や場所がわからなくなる見当識障害などがおこります。また認知症患者さんにおいて嗅覚が低下することもわかっており、認知症がはじめる10年以上前から嗅覚が低下し始めることもあります。それは認知症の原因とされるタンパク質によるダメージが、嗅内皮質から脳の海馬に広がっていくためで、嗅覚が低下している人は、認知症に進行するリスクが高いとの報告もあります。
アロマテラピーが「記憶」に与える影響
香りによる嗅覚の刺激はダイレクトに脳に伝わります。そのため特定の香りを嗅ぐことによって、昔のことを思い出したりと記憶を呼び起こすことがあります。みなさんもタンスなどの「香り」によって、祖母や祖父のことを思い出したり、以前お付き合いしていたかたの香水の香りによって、当時のことを思い出すなど、そのような経験されたこともあるのではないでしょうか?そのように香りによる嗅覚の刺激は「記憶」と密接に関係しています。アロマオイルの香りは、嗅覚を刺激したり、嗅覚刺激によって記憶をつかさどる「海馬」にも影響を与え、認知機能の改善や、認知症の初期段階から予防する効果があると考えられています。ご紹介した研究からもわかるように、アロマテラピーによる心地よい香りは、認知症患者さんにとって心強い味方なのです。
嗅覚に関して詳しく知りたいかたは、こちらの記事を参考にしてみてください→嗅覚の3つ特徴を理解してアロマテラピーの香り効果を楽しむ方法
【認知機能改善に役に立つ】レモングラスのブレンド
レモングラス、レモンソウ、レモンガヤともよばれるインド原産の植物で、伝統医学であるアーユルヴェーダに薬効のあるハーブとして使用されたり、タイの代表的なスープであるトムヤンクンの香り付けなどに用いられるなど、さまざまな用途で多くの人に親しまれてきました。レモングラスのアロマオイルは、その名の通り強いレモンに似た香りと、甘くグリーン調の香りを合わせ持つ、癒しを与えてくれる香りが特徴です。認知機能を改善することができた研究では、2時間レモングラスの香りを使っていますので、ご自宅などでもアロマディフューザーやアロマストーンを使って、2時間香りを楽しむ方法がオススメです。
レモングラスと相性の良いブレンド
レモングラスのアロマオイルだけでは、香りが強すぎると感じるかたもいらっしゃいます。その時はグレープフルーツやオレンジなどの柑橘系のアロマオイルとブレンドしたり、ゼラニウム、ローズマリーなどとブレンドすると良いでしょう。香りの好みは個人によって違いますので、お好きな香りにブレンドしてあげることも大切です。
アロマオイルを選ぶときの注意点
アロマオイルは100円均一などの店舗でも販売されていますが、良質なアロマオイルを選ぶようにしましょう。安価なアロマオイルで香りを楽しむことは良いですが、合成香料が使用されており、精油本来の効果が期待できません。ご紹介した研究でも使用されているのは、「精油」もしくは「エッセンシャルオイル」と記載された、良質の天然成分が配合されたアロマオイルです。大切かたのためにしっかりとした効果を期待して使うのであれば、アロマ雑貨店(生活の木、プラナロム、ニールズヤードなど)で販売されている、質の良いアロマオイルを選んであげてください。良質なアロマオイルの見分け方を知りたい方は、こちらを参考にしてみてください→【アロマオイル/エッセンシャルオイル/精油】3つの違いと注意点
いかがだったでしょうか?
「【レモングラスが認知機能改善に効果的】認知症を癒すアロマブレンド」をご紹介させていただきました。みなさんのお悩みに少しでもお役に立てると嬉しいです。アロマテラピーには認知症患者さんを癒す、素晴らしい効果がありますので、ぜひ試してみてください。