こんにちはアロマ薬剤師のふみやです。今回は【アロマで認知症患者さんの睡眠障害を癒す】心地よい眠りのためのレシピをご紹介したいと思います。年齢とともに睡眠時間が短くなったり、寝ている途中で起きてしまったり、朝起きたくいないのに目が覚めてしまったりと睡眠の質が変化していきます。認知症を患っていると睡眠トラブルが増えてしまうと言われていますが、そんな時にはアロマテラピーがオススメです。
アロマオイルの心地よい香りが睡眠の質を改善し癒しを届けてくれます。研究によって発表された睡眠に良いアロマオイルのレシピをご紹介しますので、ご家族やご友人など大切なかたのためにも、ぜひ読んでみてください。
認知症と睡眠障害の関係とは
高齢化が進む日本において、65歳以上の約5人に1人が認知症になるとされています。
年齢を重ねるとともに睡眠が変化していきますが、健康なかたでも「夜眠れない」「寝ている途中で起きてしまう」「朝早くに目が覚める」など、睡眠障害で悩むかたも少なくありません。認知症になると環境の変化に対応しにくくなり、物忘れなどの認知症状によって不安が増すことで、夜間の睡眠が妨げられ睡眠の質を低下させたり、昼夜が逆転した睡眠サイクルになるなどのトラブルも起こりやすくなります。またしっかりと目が覚めきれず「せん妄」といわれる、もうろうとした状態がしばしば出現します。そのようなときには不安感から興奮しやすく攻撃的になってしまうため、介護をしているかたの負担が増加してしまします。認知症患者さんの睡眠の質を向上させてあげることは、認知症患者さん本人だけでなく、介護をするかたにとっても大切になるのです。
【睡眠障害を癒す】研究で発表されたアロマテラピーの効果とは
真正ラベンダー、オレンジスウィート、ヒノキ、シダーウッド、サイプレスなどのアロマオイル(精油)の香りによって、認知症患者さんの睡眠の質を改善する効果が研究で発表されました。これらのアロマオイルの香りには、心を穏やかにさせるリラックス効果があり、メラトニンを増やすことで心地よい眠りをサポートしてくれます。
研究内容
睡眠障害を有する認知症高齢者22名を対象に、アロマテラピーを使用する20日間とアロマテラピーを使用しない20日間での睡眠の質を比較検討した。枕のそばに自身で選んだ好みの香りのアロマオイル2〜5滴を含ませたタオルを就寝前に設置して使用した。結果としてアロマテラピーを使用する期間において、睡眠時間が444.3分から461.2分に延長が認められ、早朝覚醒(朝早く目が覚める)が1.5回から0.7回に減少した。
使用されたアロマオイルのブレンド
- 真正ラベンダー
- ラベンダーとオレンジスウィートのブレンド
- ヒノキ、シダーウッド、サイプレスのブレンド
※上記の中から好みの香りを選択
ご紹介した研究以外にも数多くの認知症に対するアロマテラピーの研究が行われています。ぜひこちらの記事も参考にしてみてください→【記事まとめ】認知症予防に効果的!アロマの香りが癒す症状別ブレンド
認知症に良いアロマテラピー
香りによる嗅覚の刺激は「記憶」と密接に関係しており、香りはダイレクトに脳に伝わります。そのため頭で考える前に香りによって、好きや嫌いなどの情動的な判断をしたり、特定の香りを嗅ぐことによって、昔のことを思い出したりと記憶を呼び起こすことがあります。
みなさんもタンスなどの「香り」によって、祖母や祖父のことを思い出したり、以前お付き合いしていたかたの香水の香りで当時のことを思い出すなど、そのような経験をされたこともあるのではないでしょうか?そのように香りによる嗅覚の刺激は「記憶」と密接に関係しているとされています。アロマテラピーによる嗅覚刺激によって、記憶をつかさどる「海馬」が刺激され、認知機能の改善や認知症の初期段階から予防する効果が期待されてきました。
実際に行われたアロマテラピーの研究でも、もの忘れなどの認知機能を改善したり、近所で迷子になってしまうなどの見当識症状、怒りっぽさや気分の浮き沈み、物事に興味がなくなったなどの症状に、有効であることが発表されています。また心地よいアロマオイルの香りは、今回ご紹介したように認知症患者さんの睡眠にもよい効果があり、さまざまなアロマテラピーの作用で認知症患者さんを優しく包み込んでくれます。嗅覚に関して詳しく知りたいかたや、アロマテラピーの認知症症状に対する研究を詳しく知りたいかたは、こちらの記事を参考にしてみてください
【認知症患者さんの睡眠障害を癒す】アロマテラピーの使い方
真正ラベンダー、オレンジスウィート、ヒノキ、シダーウッド、サイプレスなどのアロマオイル(精油)の香りによって、認知症患者さんの睡眠の質を改善する効果が期待できます。これらのアロマオイルを、寝る時にアロマディフューザーやアロマストーンなどを使って、香りを与えてあげることで心地よい睡眠をサポートしてくれます。アロマストーンは6滴程度アロマオイルを垂らすとしっかり香りを楽しむことができます。
真正ラベンダー
真正ラベンダーは、ラベンダー・アングスティフォリアともよばれ、ラベンダーの代表的な品種です。爽やかな甘酸っぱい香りが特徴で、リナロールや酢酸リナリルの成分によって、不安な気持ちやストレスを穏やかに鎮めて、心地よい眠りをサポートしてくれます。多くのブランドから発売されていますが、プラナロムの「ラベンダー・アングスティフォリア」がおすすめです。プラナロムはオーガニックでありながら、品質管理も徹底されているオイルを取り扱っており、アロマテラピー経験者からも人気のブランドです。
オレンジスウィート
「オレンジスウィート」の甘くフルーティーな香りは多くの人に親しまれ、気分をリフレッシュさせてくれます。高齢者のかたも好きな香りとして使われることが多く、オレンジスウィートだけで使っても良いですし、ラベンダーとブレンドしても香りの相性が良いです。
ヒノキ
ウッディーで爽やかな森林浴の香りの「ヒノキ」は、日本では古くから建築材料などに使われてきました。優しく包みこんでくれるような香りはリラックス効果が高く、雑誌「Tarzan」では快眠アロマベスト5に選出されています。生活の木からスプレータイプの「アロマミスト」も発売されており、ヒノキやローズマリー、レモンがブレンドされています。寝具などにスプレーするだけで使うことができ、安眠をサポートしてくれます。
シダーウッド
穏やかな甘さを持ち森林を想わせる香りの「シダーウッド」。日本では鉛筆などにも使われる植物であるため、エンピツビャクシンとも呼ばれています。ヒノキやサイプレスと同じ森林浴の香りですが、少し甘みが強いことが特徴で、3種類ブレンドしても香りに深みがでるためオススメです。
サイプレス
イトスギ、ホソイトスギとも呼ばれ、画家のセザンヌやゴッホの絵画にも描かれるほど多くの人に親しまれてきた「サイプレス」。フレッシュでウッディな香りにほんのりとシトラスの香りがします。心のリフレッシュに適していて、心地よい眠りにも効果的です。生活の木から発売されている「ナチュラルフォレスト」はサイプレス、シダーウッド、フランキンセンスがブレンドされており、森の中の樹木のクリアな香りと、シャープなフランキンセンスの香りがマッチしていておすすめです。アロマオイル100%のブレンドオイルなので、アロマディフューザーやアロマストーンにそのまま使うことができます。
いかがだったでしょうか?
「【アロマで認知症患者さんの睡眠障害を癒す】心地よい眠りのためのレシピ」をご紹介させていただきました。みなさんのお悩みに少しでもお役に立てると嬉しいです!アロマテラピーによる心地よい香りは、認知症患者さんの心身のケア、睡眠に効果的です。認知症患者さん本人だけでなく、介護をされているかたのためにも、ぜひ試してみてください。