こんにちはアロマ薬剤師のふみやです。今回は【アロマテラピーの効果には理由がある】医療でも用いられる2つの作用をご紹介したいと思います。
アロマテラピーって本当に効果があるの⁉︎ただの香りでしょ…、以前はそのように私は思っていました。NARDインストラクターの資格をとり、多くの生徒さんのレッスンを担当してきた今では、そのように考えていた自分が恥ずかしいです。もしかしたら皆さんもアロマテラピーを、ただの香りだと考えている人がいらっしゃるのではないでしょうか?海外では医療としても用いられ、日本でも注目されているアロマテラピー。その素晴らしい作用の理由についてご紹介したいと思いますので、ぜひ読んでみてください。
医療でも用いられるアロマテラピー
オーガニックの有効成分が詰まったアロマオイル(精油)には、心地よい香りで癒しを届けてくれるだけでなく、さまざまな有効成分が心身のトラブル解消に働きかけてくれます。古くから芳香植物は食用や薬用として活用され、インド・スリランカ発祥の伝統医学「アーユルヴェーダ」、中国伝統医学の「中医学」などでも広く用いられてきました。フランスやベルギーなどでは、その素晴らしいアロマテラピーの作用を、現在の医療にも使用しており、日本においても薬剤を使用した西洋医学に加え、アロマテラピーなどを組み合わせた「補完代替療法」が注目されています。
香りと有効成分を活用したアロマテラピー。日本だけでなく世界中の医療現場で研究が行われ、毎年新しいデータが発表されています。その研究論文数は1000報以上もあるのです
2つの作用によるアロマテラピーの効果〜その①〜
アロマテラピーが素晴らしい効果を示す理由としては、主に2つの作用によるものと考えられています。①香りが嗅覚から脳へ、②身体に塗った部分だけでなく全身へ、この2つのルートです。詳しくご紹介していきましょう。
香りを嗅いで脳へ
五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)のなかで、嗅覚だけが「ダイレクトに脳に伝わる感覚器」であることをご存知でしょうか?アロマテラピーの有効成分は、嗅覚を通じて脳の中にある大脳辺縁系に直接伝わります。大脳辺縁系は発生学的に古い脳であり、人間本来の「感情」•「本能」を司っているため、好き嫌い、心地よいと感じる、不快と感じるなどの感情、睡眠欲、食欲、性欲などの本能に、アロマテラピーによる香りの刺激が大きく影響を及ぼします。また大脳辺縁系には海馬があるため、「記憶」に関連してていると考えられており、アロマテラピーの香りの刺激が認知症患者さんの認知機能を改善したとの研究報告があるほどなのです。
初めて会った人の香りだけで「この人好き!」、「この人嫌い!」などと無意識に判断したことはありませんか?中身は全然知らないけれど、なぜか好きなんだよね、と思ったりしたことがあれば、嗅覚による作用かもしれません
自律神経系・免疫系・内分泌系への作用
大脳辺縁系の近くには視床・視床下部があり、嗅覚からの情報が伝わることで、自律神経系、免疫系、内分泌系へも影響を及ぼします。視床下部は自律神経の司令塔の役割を担っていて、交感神経と副交感神経のバランスを保つために働いていますが、仕事などのストレスが過度にかかると、自律神経のバランスが崩れ、自律神経失調症などの病気を引き起こします。アロマテラピーの香りによる刺激は、この崩れた自律神経のバランスを整えることがわかっており、ストレスの緩和、良質な睡眠を促すなどの効果が現れるのです。またホルモンの働きをコントロールする下垂体にも作用することで、女性ホルモンの分泌を促すことが研究でも報告されており、自律神経のバランスを整えたり、ホルモンバランスを整えたりするなどによって、免疫力を増加するとも考えられています。
アロマテラピーによる香りの刺激が脳に直接伝わることで、さまざまな良い影響を心とカラダに届けてくれるのです。嗅覚に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください→嗅覚の3つ特徴を理解してアロマテラピーの香り効果を楽しむ方法
2つの作用によるアロマテラピーの効果〜その②〜
アロマテラピーに効果がある理由の2つ目は、身体に塗った部分に作用することはもちろんのこと、塗った部分から全身にも作用することです。
②身体に塗った部分だけでなく全身へ
オーガニックの有効成分が詰まっているアロマオイル(精油)、その有効成分は現在の医療にも応用されているほど。例えばウィンターグリーンのアロマオイルには、90%以上のサリチル酸メチルが含まれていて、サリチル酸メチルは湿布剤でお馴染みの「サロンパス」に用いられる有効成分です。その他にもユーカリ・ラディアタなどに含まれる1•8シネオールは、風邪を引いたときなどに使うトローチに用いられています。この素晴らしい作用をもった天然の有効成分を肌に使えば、効果があることは容易に想像がつくのではないでしょうか?またアロマオイルは塗った部分だけでなく、皮膚から血管に入って全身に作用することもわかっています。ラベンダーのアロマオイルをおへその周りに塗ると、血液中にアロマオイルの成分が検出された報告もあり、全身へも作用してくれるのです(※参照)。
アロマテラピーの有効成分は医薬品にも使われるほどの作用を持っているので、しっかりと理解して使うことが大切です
肌と心〜皮脳同根〜
皮脳同根という言葉をご存知でしょうか?医療や美容業界では、肌(皮膚)と脳は同じルーツを持っているという意味で使用されます。ストレスが溜まったときに肌荒れが起きる、質感の良い服を着ると癒される、このようにイメージしたらわかりやすいように、皮膚と脳、すなわち肌と心は密接に関連しています。このつながりは、私たちがお腹のなかにいたときに作り出されるもので、受精卵が分裂を始める段階で、内胚葉、中胚葉、外胚葉とよばれる3つの層にわかれていきます。内胚葉は主に内臓を形成し、中胚葉は骨や筋肉、外胚葉は皮膚や脳神経を形成します。このように皮膚と脳は同じルーツを持っているため、相互に影響を及ぼすと考えられています。そのためアロマテラピーの香りで癒されると肌荒れが改善する、アロママッサージを行うとストレスが減少する、このような作用が実際に行われた研究においても効果が認められています。
いかがだったでしょうか?
「【アロマテラピーの効果には理由がある】医療でも用いられる2つの作用」をご紹介させていただきました。アロマテラピーをただの香りと思っていたのが、少し違う印象を持っていただけたでしょうか?アロマテラピーには香りによる作用と、肌に塗ることでの作用で、人々に癒しを運んでくれます。心身のセルフケアとしてアロマテラピーは、幅広く活躍してくれますので、ぜひアロマテラピーを取り入れてみてください。ご紹介した内容が皆さんのお役に立てると嬉しいです。
アロマテラピーの資格に興味がある方はこちらの記事も参考にしてみてください。
参照:「j.soc.c osmeCt.hem.,4 3,49-54 January/Februa1ry9 92」ラベンダー精油をピーナッツオイルで2%に希釈し、10分間へその周りをマッサージ、20分後に血液中にラベンダー精油の成分であるリナロールと酢酸リナリルが検出。90分後に血液から消失。