こんにちはアロマ薬剤師のふみやです。【不眠に悩む高齢者に届けたいアロマ】睡眠の質を改善するマッサージをご紹介したいと思います。心身の健康な生活のために欠かせない睡眠ですが、60歳を過ぎると何らかの睡眠に対する障害をもつ方が増え、3人に1人は不眠で悩んでいるとされています。「夜眠れない」「寝ている途中で起きてしまう」「朝早くに目が覚める」など、ご自身の周りにもそのような睡眠障害に悩まされる方もいらっしゃるのではないでしょうか？
そんなときはアロマテラピーがおすすめです。アロマテラピーには高齢者の睡眠の質を改善する作用があり、心地よい睡眠をサポートしてくれます。具体的なアロマオイルのレシピなどをご紹介しますので、ぜひ読んでみてください。
不眠に悩む高齢者〜加齢による睡眠の質の変化〜
心身の健康な生活のために欠かせない睡眠ですが、60歳を過ぎると何らかの睡眠に対する障害をもつ方が増え、3人に1人は不眠で悩んでいるとされています。高齢になると「布団に入ってもなかなか寝つけない」「眠りが浅い」「寝ている途中で起きてしまう」「朝早くに目が覚める」などの不眠の症状が増えてきます。そのような不眠の症状は仕事を退職したり、大切なパートナーや友人との死別、独居、高齢者施設への入居など、生活に対する不安による心理的なストレスが影響します。
年齢を重ねると睡眠の質は低下する
睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類があり、レム睡眠は体の力は抜けているものの、脳は活動している浅い眠りです。ノンレム睡眠は脳も身体も熟睡している状態で、脳や身体の疲労回復に重要な時間です。若い頃には、レム睡眠とノンレム睡眠の周期が90分間隔で、一晩に3〜5回繰り返されますが、加齢にともない深い眠りであるノンレム睡眠が少なくなり、レム睡眠が増えることで睡眠が浅くなります。その他にも心筋梗塞やリウマチなどの病気による身体の痛み、うつ病や認知症などによっても不眠がおこり、これらによっても睡眠の質が低下します。
体内時計の微妙なズレが原因になることも
高齢者の不眠の原因として、体内時計の微妙なズレが起こることも指摘されています。人間には、ほぼ1日周期でリズムを刻む体内時計が備わっており、「メラトニン」とよばれる脳内ホルモンの働きなどにより、意識しなくても昼間は心と身体が活動的になり、夜になると休息に切り替わることで、心地よい眠りへと導かれます。この体内時計は約25時間周期であると考えられており、24時間周期で社会生活をする私たちにとって、1時間のズレが発生します。そのズレは朝起きて日光を浴びたり、運動することで調整されていきますが、年齢を重ねることで、体内時計のズレをうまく調整できなくなってしまったり、心地よい睡眠を促すメラトニンの分泌が低下することによって、不眠が起こりやすい傾向になります。不眠を予防するためには規則的正しい生活や食事・運動が効果的ですので、不眠に悩んでいる方にアドバイスしてあげることが良いでしょう。
体内時計のなかで、24時間周期のリズムを「サーカディアンリズム（概日リズム）」と呼んでいます。みなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか？
【不眠に悩む高齢者に届けたい】睡眠の質を改善するアロマテラピー
ラベンダー、ゼラニウム、カモマイルローマンのアロマオイル（精油）を使ったマッサージによって、高齢者の睡眠の質を改善する効果が研究によって認められています。これは京都府立大学の今西先生らが行なった研究で、不眠で苦しむ高齢者の睡眠障害を解消することを目的として行われました。
研究内容
70〜85歳の睡眠障害、サーカディアンリズム障害を有する8名を対象に、アロママッサージを行う1週間前、アロママッサージを行う1週間、アロママッサージ後の1週間の睡眠の質を比較検討した。アロママッサージには、ラベンダー0.1ml、ゼラニウム0.05ml、カモマイルローマン0.05mlをホホバオイル8mlに加えたブレンドオイルを使用し、1週間の間に2回、就寝1時間前に30分のマッサージを行なった。結果としてアロママッサージを行った期間で、布団に入っている時間に対して、実際の睡眠がどの程度とれているかの指標である「睡眠効率」を有意に増加することが確認され、サーカディアンリズム障害に対して改善効果も認められた。
参照：老人保健施設入所者のアロマテラピー・マッサージの睡眠サーカディアンレス障害の改善―パイロット研究
【香りで不眠を癒す】アロマオイルの使い方
ラベンダー、ゼラニウム、カモマイルローマンのアロマオイル（精油）を使うことで、高齢者の睡眠の質を改善し、心地よい睡眠をサポートしてくれます。
アロマオイルの使い方として、ご紹介した研究のようにアロマオイルをブレンドしてアロママッサージを行ったり、アロマディフューザーなどを使って香りを楽しむ方法もオススメです。
マッサージオイルの作り方
ご紹介した研究では、ラベンダー0.1ml、ゼラニウム0.05ml、カモマイルローマン0.05mlを、ホホバオイル8mlに加えたブレンドオイルが使用されました。このマッサージオイルは、ガラス容器にキャリアオイルを8ml入れ、ラベンダー2滴、ゼラニウム1滴、カモマイルローマン1滴を加え、軽く混ぜ合わせるだけで簡単に作ることができます。寝る前に優しく30分かけてマッサージをしてあげることで、心身をリラックスさせてくれ、心地よい睡眠へと導いてくれます。
アロマオイルをブレンドしてマッサージオイル作るときは、良質なアロマオイル（精油）を選ぶようにしましょう。100円均一などで販売されているアロマオイルは、合成香料が使用されているため、精油本来の効果を得ることができません。アロマ雑貨店などで取り扱っている「精油」もしくは「エッセンシャルオイル」と記載された良質なアロマオイルを選ぶようにして、作ったマッサージオイルでのアレルギー反応が起きないかを確かめるためにパッチテストを行ってから、全身に使うようにしてください。
ラベンダー
アロマテラピーの万能精油ともよばれ、多くの人に親しまれているラベンダー。なかでも真正ラベンダー（ラベンダー・アングスティフォリア）の品種は、爽やかな甘酸っぱい香りが特徴で、リナロールや酢酸リナリルの成分によって、不安な気持ちやストレスを癒してくれる作用に優れています。そのようなリラックス作用によって、睡眠の質を改善する効果が、日本だけでなく海外の研究でも認められているので、睡眠トラブルで困っているかたにとって、心強い味方になってくれます。アロマオイルを購入する際はプラナロム/ケンソーがオススメです。プラナロム/ケンソーで取り扱っているアロマオイルは、オーガニックでありながら有効成分の管理も徹底されている高品質のオイルのため、アロマテラピー経験者からも人気のブランドです。ラベンダー・アングスティフォリアが含まれた「Sタイプ」のマッサージオイルには、パルマローザ、カモマイルなど癒しのアロマオイルもブレンドされており、肌に優しいブレンドでもあるため敏感肌にも使いやすいです。アロマテラピーを使ったことがなければ、Sタイプをまずは使ってみることも良いと思います。
ゼラニウム
ゼラニウムは、ローズゼラニウムともよばれ、甘くバラに似た香りで、わずかにミントのような香りがします。甘くフローラルな香りは香水などにも使用され、特に女性に人気のアロマオイルです。ゼラニウムに含まれるゲラニオールは、心身を落ち着かせる作用に優れており、心地よい睡眠をサポートしてくれます。ゲラニオールには肌を引き締める作用もあるため、美しい肌のためにマッサージオイルにブレンドされることも多く、女性に嬉しい効果がたくさんあります。ニールズヤードから、ゼラニウムやオレンジのアロマオイルなどがブレンドされた「ゼラニウム＆オレンジマッサージオイル」や「ゼラニウム＆オレンジハンドクリーム」が発売されています。ゼラニウムの優しく甘い香りに、柑橘系のフレッシュな香りがマッチしており、癒しの香りでも人気の商品です。高齢者の方にも柑橘系の香りは人気ですので、柑橘系がお好きな方にプレゼントするのにオススメです。またニーズヤードからは、セルフマッサージのための32の目的別マッサージ法とレシピが記載された書籍「ニールズヤード式アロマセラピーセルフマッサージ」があり、いろいろな用途でアロマテラピーを取り入れたい方のバイブルです。
カモマイルローマン
古くから薬草としても使われてきたカモマイルローマン。カモマイルは「大地のリンゴ」というギリシア語に由来しており、その名の通りリンゴに似た甘酸っぱさを持った心地よい香りが特徴的です。神経のバランスを回復させる作用があり、緊張やイライラを優しく包み込んでくれ、安心感を生み出すことで安眠へと導いてくれます。炎症や肌荒れを抑える作用にも優れているためスキンケアにもオススメのアロマオイルです。
いかがだったでしょうか？
「【不眠に悩む高齢者に届けたいアロマ】睡眠の質を改善するマッサージ」をご紹介させていただきました。みなさんのお悩みに少しでもお役に立てると嬉しいです。ラベンダー、ゼラニウム、カモマイルローマンのアロマオイルの香りは、心身に癒しを届けてくれ、心地よい眠りをサポートしてくれます。ご自身の睡眠トラブルや、大切なご家族にとって心強い味方となってくれますので、ぜひアロマテラピーを試してみてください。
