こんにちは、アロマ薬剤師のふみやです。今回は、男性更年期障害に対するアロマオイルの効果と4つの症状別レシピに関してご紹介していきたいと思います。更年期障害と聞くと女性をイメージされる方も多いのではないでしょうか?実は男性にも更年期障害があります。しかしながら認知度が低いため、ご自身に症状が出ていても気のせいかなと思ってしまったり、他の人から見ても更年期障害の症状が出ていることに対して理解を得られにくいことがあります。
- 「やる気がでない、イライラしやすくなった」
- 「最近パワー不足だ・・・」
- 「性欲、性的機能が衰えてきた」
もしご自身もしくは男性パートナーが上記のようにお悩みでしたら、男性更年期の可能性がありますので、是非とも読んでみてください。
男性更年期障害とは
男性の更年期障害は40〜70歳代に発症することがあり、特に働き盛り世代の40〜60歳代に多いとされています。
更年期障害は、正式にはLOH症候群(late-onset hypogonadism)と呼ばれており、男性ホルモン「テストステロン」の分泌量が減ることなどが原因と考えられています。テストステロンの量は人によってばらつきはありますが、20歳代をピークに加齢とともに減少していき、テストステロンの量が減ることでさまざまな症状がでてきます。
男性更年期障害の症状
男性の更年期症状には主に3つの分類があり「性機能関連症状」「精神・心理症状」「身体症状」があります。
性機能関連症状
性欲低下、勃起障害(ED)や性機能障害など
精神・心理症状
鬱(うつ)感や落胆、無気力、不安、イライラ、疲労感、記憶力や集中力の低下など。
身体症状
発汗やほてり、睡眠障害、めまい、耳鳴り、関節・筋肉関連の症状などが出てくる。
鬱(うつ)になるとEDになる、EDになると鬱の症状をより強くしてしまう。そのように更年期症状は相互的に他の症状を助長することがあります
男性更年期障害に対するアロマテラピー【効果的なアロマオイル】
アロマテラピーで使用されるアロマオイル(精油)には優れた香りのチカラによって「気分の落ち込み」「不安」「緊張からの解放」や「リラックス」などのさまざまな精神的な症状に対する効果が期待され、幅広く使われてきました。
また香りによるチカラで「男性ホルモン」に対しても、影響を及ぼすことが報告されていますのでご紹介したいと思います。鳥居泌尿器科・内科の鳥居伸一郎先生が報告された研究内容になりますが、男性更年期障害の症状に合わせてアロマオイル(精油)を決める方法で行っています。
研究方法
更年期障害の男性患者10名を対象に、AMS男性更年期問診表を用いてアロマオイル(精油)を3種類選択し、就寝前の芳香浴、週2回10分間の全身浴(1回につきスイートアーモンド3mlで濃度3%に希釈)のいずれか、もしくは両方の方法でアロマオイルを使用した。
アロマオイルの選択
1 | 身 | 総合的に調子が悪い | フランキンセンス | 免疫機能活性作用 |
2 | 身 | 関節や筋肉の痛み | カモミールローマン | 鎮痙作用 |
3 | 身 | ひどい発汗 | マジョラムスイート | 自律神経調整作用 |
4 | 身 | 睡眠の悩み | ビターオレンジ | 催眠作用 |
5 | 身 | よく眠くなる、しばしば疲れる | レモン | 鎮静作用 |
6 | 心 | イライラする | サイプレス | 鎮静作用(特に怒りに効果的) |
7 | 心 | 神経質になって | ビターオレンジ | 鎮静作用(安心感を与える) |
8 | 心 | 不安感(パニック状態) | ローズオットー | 鎮静作用(パニック発作によい) |
9 | 身 | 体の疲労や行動力の衰退 | プチグレン | 抗うつ作用(神経系のバランス回復) |
10 | 身 | 筋力の低下 | パチュリ | 加温・活性・強壮作用 |
11 | 心 | 憂うつな気分 | ネロリ | 抗うつ・神経強壮作用 |
12 | 性 | 「絶頂期は過ぎた」と感じる | ベルガモット | 鎮静作用 |
13 | 心 | 力尽きた、どん底にいると感じる | バレリアン | 鎮静・催淫作用(極度の感情的な疲労) |
14 | 性 | ひげの伸びが遅くなった | ローズオットー | 催淫作用 |
15 | 性 | 性的能力の衰え | ローズウッド | 全身の強壮作用 |
16 | 性 | 早期勃起回数の減少 | マジョラムスイート | 血管拡張作用 |
17 | 性 | 性浴の低下 | イランイラン | 催淫作用 |
上記のAMS問診表の点数を合計して各々のアロマオイルの推奨度を算出し、原則として上位3種類のアロマオイルを使用した。
研究結果
効果はAMSスコア、 遊離テストステロン、DHEA-S(デヒドロエピアンドロステロンサルフェート)を前後で測定した。 AMSスコアは(9例/10例)で改善し、遊離テストステロンは(9例/10例)、DHEA-Sは(5例/10例) で上昇した。
アロマオイルをAMS問診表に合わせて選択し芳香や入浴による継続した治療により、自覚症状の改善はもとより、遊離テストステロン上昇がみられ男性更年期障害に対するアロマセラピー治療の可能性が示唆されたと鳥居先生は考察しています。アロマテラピーに効果がある理由を知りたい方はこちらを参考にしてみてください→アロマテラピーの効果には理由がある!2つの作用と使い方
参照:aromatopia No.106(2011) 「男性更年期とアロマセラピー」
男性更年期障害の症状別に対するアロマテラピーレシピ
鳥居先生は男性更年期障害に対する症状別でのアロマテラピーのレシピも考案されておりますのでご紹介したいと思います。
身体症状優位
ジンジャー、ゼラニウム、フランキンセンス、ラベンダー
症状としては、総合的に調子が悪い、関節や筋肉の痛み、ひどい発汗、睡眠の悩み、よく眠くなる、しばしば疲れを感じる、体の疲労や行動力の衰退、筋力低下などが該当します。
精神症状優位(神経症様症状優位)
ジンジャー、フランキンセンス、ブラックペッパー、ラベンダー
症状としては、イライラする、神経質になった、不安感などが該当します。
神経症状優位(鬱症状優位)
グレープフルーツ、サイプレス、ブラックペッパー、ペパーミント、ローズマリー・ベルベノン
症状としては、憂うつな気持ち、力尽き、どん底にいると感じるなどが該当します。
性機能低下症状優位
サイプレス、ジンジャー、ローズマリー・ベルベノン、ローズオットー
症状としては、ひげの伸びが遅くなった、性的機能の衰え、早期勃起回数の減少、性欲の低下などが概要します。その他にも男性更年期障害に対するアロマテラピーの研究を知りたい方は、こちらを参考にしてみてください→男性に更年期障害が⁉︎アロマオイルの効果【症状チェックと治療】
男性更年期障害に対するアロマテラピーの使い方
ご紹介した研究では、アロマオイル(精油)を3種類選択し、就寝前の芳香浴、週2回10分間の全身浴(1回につきスイートアーモンド3mlで濃度3%に希釈)のいずれか、もしくは両方の方法でアロマテラピーが行われました。
そのため症状にあったアロマオイルを購入され、就寝前にアロマディフューザーやアロマストーンを使って、寝室に香りを使うのも良いですし、プラナロム/ケンソーや生活の木などのアロマ雑貨店で発売している「バスオイルや「シーソルト」にアロマオイルをブレンドして、アロマバス(全身浴)を楽しむのもおすすめです。
アロマ入浴剤の作り方や、アロマの全身浴の効果に関して知りたい方はこちらを参考にしてみてください→いつものお風呂を効果的に!簡単手作りアロマ入浴剤の作り方
アロマテラピーを行ったことがなかったり、何を購入すれば良いかわからないとお悩みの場合は、市販のものを購入されて試されることも良いと思います。症状別におすすめの商品をご紹介したいと思います。
身体症状優位
生活の木から発売されている「ネムリラ ピロースプレーラベンダー」には、ラベンダーやクラリセージなどのリラックス効果に優れているアロマオイルがブレンドされていて、寝る前に枕などの寝具にスプレーすると、深みのある香りが気分をゆったりと落ち着かせ心地よい眠りをサポートしてくれます。
NEAL’S YARD(ニールズヤード)から発売されている「アロマティックシャワージェル」はラベンダーやゼラニウムがブレンドされているフローラルな香りが特徴のシャワージェルです。スポンジやクロスなどにジェルを付けてお湯を少量加えよく泡立てて体を洗うと、優しい香りが1日の疲れを癒してくれます。ラベンダーには体臭予防にも効果的ですので、体臭が気になる方にオススメです。
精神症状優位(神経症様症状優位)
NEAL’S YARD(ニールズヤード)から発売されている「リードフレグランスディフューザーバランシング」はフランキンセンスやマジョラムなどがブレンドされたリードフレグランスで、お部屋や寝室におけば、香りがリラックス空間を演出してくれます。
神経症状優位(鬱症状優位)
生活の木から発売されている「マスクスプレー シトラスミント」は、マスクの外側にふりかけるスプレーとなっていて、ペパーミントやグレープフルーツなどの爽やかな香りが特徴的です。日中のマスクでのお出かけの際にスプレーすると、気分をリフレッシュさせ元気付けてくれます。
NEAL’S YARD(ニールズヤード)から発売されている「クリアフレッシュ」は、ペパーミントやブラックペッパーがブレンドされているアロマオイルになります。清涼感のあるブレンドは空間をすっきりとしたクリアな雰囲気で満たしてくれます。リフレッシュしたいときなどに部屋で使う際は、アロマストーンやティッシュに数滴垂らして香りを楽しむ方法がオススメです。
性機能低下症状優位
NEAL’S YARD(ニールズヤード)から発売されている「ジンジャー&ジュニパーウォーミングオイル」はボディーオイルになっており、ジンジャーやローズマリーがブレンドされています。血行を良くする効果も期待できるので、寝る前のマッサージにオススメです。
プラナロム/ケンソーから発売されているバスオイルの「ウォームアップ」は、サイプレスをはじめ、催淫作用が期待できるシナモン・カッシアやイランイランがブレンドされています。体を温める成分が入っているので、寒い季節やエアコンなどで身体が冷えてしまった時などに特にオススメです。またサイプレスは体臭予防に効果的な成分を含んでおり、体臭が気になる方にもオススメです。
いかがだったでしょうか?
「男性更年期障害に対するアロマオイルと4つの効果的な症状別レシピ」に関してご紹介させていただきました。皆さんのお悩みの解決に少しでもお役に立てると嬉しいです。ぜひアロマテラピーを試してみてください。