こんにちはアロマ薬剤師のふみやです。今回は【ペパーミント】ストレスによる吐き気に効くアロマテラピー対処法をご紹介していきたいと思います。
体調不良、乗り物酔い、妊娠中、感染症、抗がん剤などのお薬によってもおこる吐き気。吐き気はとてもツラい症状ですが、ストレスによって吐き気を感じる人もいらっしゃるのではないでしょうか?そんなときにはペパーミントのアロマオイルがオススメです。アロマテラピーは吐き気で悩む人たちを救うべく、日本だけでなく世界中で吐き気を抑制することを目的とした研究が行われてきました。簡単なアロマテラピーの使い方もご紹介しますので、ぜひ読んでみてください。
吐き気に効果的なペパーミントのアロマオイル
オーガニックの有効成分が凝縮されたペパーミントのアロマオイル(精油)は、心地よい香りでストレスを和らげるだけでなく、香り成分によって吐き気を抑制するために働きかけてくれます。病気、手術、抗がん剤などによる吐き気にたいして、医療現場で用いられるほど優れた作用を持っているのです。
ペパーミント
スッキリとした爽快感のある香りで、多くの人に親しまれるペパーミントは、歯磨き粉やガムなどに用いられることでもお馴染み。スペアミントとウォーターミント交配種であるとされ、古くから薬用としても世界中で親しまれてきました。爽やかな香りによってストレスを緩和する作用や、消化器系の働きを調整する作用によって、吐き気を抑制するために働きかけてくれます。吐き気の緩和以外にも、ストレスなどによって腹痛や下痢をきたす過敏性腸症候群を改善する研究報告、偏頭痛の痛みや吐き気を減少される研究報告などがあり、数多くの用途で用いられてきました。これらはペパーミントに含まれる香り成分の「メントール」の働きが関与しているともされており、さまざまな症状に働きかけてくれます。またペパーミントのアロマオイルには、脳の血流量を増加させることで、元気を与えてくれる香りでもあるため、吐き気によって落ち込んでしまった気持ちを、明るく前向きな気分にしてくれる嬉しい作用も。ペパーミントのアロマオイルは、ストレスからおこる吐き気にたいして心とカラダのケアをしてくれる、ピッタリのアロマオイルなのです。
ペパーミントを用いたアロマテラピー研究
抗がん剤を投与した患者90名を対象に、ペパーミントのアロマオイルと制吐剤(吐き気止め)を併用した群と、制吐剤のみを使用した群で吐き気と嘔吐の頻度を比較検討した。ペパーミントのアロマオイルは1日3回、3%濃度に希釈したオイルを鼻の下に塗布した。結果としてペパーミントオイルを使用した群で、吐き気と嘔吐の頻度を有意に低下させた。(研究①)
入院患者103名を対象に、ペパーミントのアロマオイルと制吐剤の併用した群、アロマオイルのみを使用した群で吐き気の自覚症状を比較検討した。結果としてペパーミントのアロマオイルのみを使用した群が、併用した群より吐き気の自覚症状を有意に低下させる効果が認められた。また吐き気に対して制吐剤を使わず、ペパーミントのアロマオイルだけを使った割合は65%であった。(研究②)
心臓手術を受けた患者60名を対象に、ペパーミントのアロマオイルを使用した群、アロマオイルを使用しなかった群で吐き気の頻度、吐き気の持続時間、嘔吐の回数を比較検討した。結果としてアロマオイルを使用した群において吐き気の頻度、吐き気の持続時間、嘔吐の回数を有意に低下させる効果が認められた(研究③)
ペパーミントのアロマオイルには医療現場でも用いられるほど、吐き気による心身のケアに嬉しい作用がたくさんあるのです!
なぜストレスによって吐き気を感じるのか
さまざまな原因によっておこる吐き気。多かれ少なかれ誰でもストレスを抱えていますが、なぜストレスによって吐き気がおこるのでしょうか。
それはストレスと胃や腸の働きをつかさどる自律神経が、密接に関係しているからと考えられています。自律神経は「交感神経」と「副交感神経」によってバランスが保たれていますが、ストレスがかかることによって交感神経が強く働き、胃酸や胃粘膜の分泌が減り動きも低下します。しかし一方で交感神経が強く働くことによって、副交感神経がバランスを戻そうと活発になり、胃酸の分泌を増やします。このように過度のストレスによって自律神経のバランスが乱れてしまい、消化器系に大きな負荷を与えることで、吐き気を引き起こすと考えられています。そのほかにもストレスによる自律神経の乱れは、腹痛・下痢・便秘などの過敏性腸症候群、めまい、偏頭痛、緊張性頭痛などさまざまな症状も引き起こすことがわかっており、ストレスは吐き気だけでなく、複数の症状を生じさせるのです。
ペパーミントのアロマオイルは、スッキリした香りでストレスを軽減してくれる作用と、消化器の働きを調整してくれる作用によって、吐き気を抑えるために働きかけてくれるのです。その他の吐き気に効果的なアロマオイルを知りたい方はこちらを参考にしてください→【記事まとめ】5種類のアロマが吐き気に効果的〜症状別での選び方〜
ストレスによる吐き気に効くアロマテラピー対処法
ペパーミントの有効成分が詰まったアロマオイルのスッキリとした爽やかな香りは、ストレスによる自律神経の乱れや、消化器系の負担を癒すことで、ストレスによる吐き気の頻度や回数、吐き気の持続時間を改善する効果が期待できます。
アロマテラピーの使い方 吐き気の緩和・予防
アロマテラピーの使い方として、ストレスによって吐き気を感じたときに、コットンやティッシュにペパーミントのアロマオイルを2滴程度垂らして、深呼吸するように香りを吸入する方法が効果的で簡単です。そのほかにも重要な会議、プレゼン、テスト前などストレスがかかりそうなときに、前もってペパーミントの香りを取り入れることで、気持ちを落ち着かせ、吐き気を予防する方法として使うこともよいでしょう。
アロマテラピーの使い方 ストレスケア
日々のストレスケアとしてもペパーミントのアロマオイルは活躍してくれます。アロマディフューザーやアロマスプレーで香りを部屋に満たしてあげても良いですし、寝るときに香りを使うこともオススメです。寝るときにはラベンダーやオレンジなどのアロマオイルを、ペパーミントのアロマオイルと一緒にアロマストーンなどに垂らしてあげると、香りのバランスがよく、心地よい眠りに導いてくれます。アロマオイル以外にもハーブティーとしてペパーミントは人気で、とくに消化器系の不調をもっている人には心強い味方となってくれます。
アロマスプレーの作り方
【用意するもの】
- 無水エタノール:20ml
- 精製水:10ml
- アロマオイル(精油):18滴
- スプレー容器
【作り方】
- スプレー容器に無水エタノール入れる
- スプレー容器にアロマオイルを加え、軽く容器振る
- 精製水を加え、容器に蓋をして、再度混ぜ合わせる
【保存方法】
- 使用前に振ってから使う
- 2〜4週間を目安に使い切る
【ポイント】
- 無水エタノールや精製水は薬局、ドラッグストア、アロマ専門店、ネットで購入可能
- (精製水が購入できない場合は浄水器の水、もしくは水道水で代用)
- (無水エタノールが購入できない場合は、市販のウォッカなどで代用)
生活の木 「マスクスプレー シトラスミント」
生活の木から販売されている「シトラスミント」は、ペパーミント、オレンジ、レモン、グレープフルーツなどのアロマオイルがブレンドされたマスクスプレーです。出かける前や外出先でも、マスクの外側に2〜3回スプレーするだけで使うことができ、ペパーミントのスッキリとした香りと、柑橘系の水々しい爽やかな香りが気分をリフレッシュさせてくれます。吐き気で具合が悪いのに出かけないといけないときや、緊張しそうな重要な仕事がある日などに使うと良いでしょう。また抗菌作用、抗ウイルス作用に優れたアロマオイルたちでもありますので、感染症予防にも活躍してくれる優れものです。
生活の木 「スティックアロマ」
生活の木から販売されている「スティックアロマ スーッとノーズ」は、ペパーミント、ライムなどがブレンドされたスティックタイプのアロマです。キャップを取るだけで、いつでもどこでも香りが楽しめて持ち運びにも便利です。吐き気を感じたときや、予防したいとき、リフレッシュしたいとき、仕事や勉強を頑張りたいときに、サッと取り出して使うことができるので、さまざまなシーンで活躍してくれます。
いかがだったでしょうか?
「【ペパーミント】ストレスによる吐き気に効くアロマテラピー対処法」をご紹介させていただきました。オーガニックの有効成分と心地よい香りが詰まったペパーミントのアロマオイル。ストレスに癒しを与えることからも、吐き気を抑えるためにさまざまな角度から働きかけてくれます。簡単な方法でもアロマテラピーは使えますので、よかったら試してみてください。
アロマテラピーとしてアロマオイルを使う場合は、「精油」もしくは「エッセシャルオイル」と記載された良質なオイルを選ぶようにしてください。100円均一などで販売されているアロマオイルは、合成香料が使用されているため、精油本来の有効成分が入っていません。香りを楽しむだけであれば、100円均一のアロマオイルも良いのですが、効果を期待して使う場合には、良質な精油を使うようにしましょう。プラナロム/健草医学舎、生活の木、ニールズヤードなど、アロマ専門店から購入するのがオススメです。ご紹介した内容が皆さんのお悩み解決に少しでもお役に立てると嬉しいです。
研究①参照:The Effects of Peppermint Oil on Nausea, Vomiting and Retching in Cancer Patients Undergoing Chemotherapy: An Open Label Quasi–Randomized Controlled Pilot Study、研究②参照:Peppermint Essential Oil for Nausea and Vomiting in Hospitalized Patients: Incorporating Holistic Patient Decision Making Into the Research Design、研究③参照:The effect of aromatherapy with peppermint essential oil on nausea and vomiting after cardiac surgery: A randomized clinical trial、研究④参照:Comparison of the Effect of Inhalation Aromatherapy with 10% and 30% Peppermint Essential Oils on the Severity of Nausea in Abdominal Surgery Patients