こんにちは、アロマ薬剤師のふみやです。
今回は【8種類のアロマオイル】研究での骨折などの痛みを止める使い方とレシピをご紹介したいと思います。アロマオイルは鎮痛作用や抗炎症作用に優れたものがたくさんあり、それらを使ったアロマテラピーはさまざまな「痛み」を緩和させるために、多くの研究で使用されてきました。それらの研究内容と、研究で使用された代表的なアロマオイル8種類をご紹介します。日々の生活での使い方もご紹介しますので、ぜひ読んでみてください。(※アロマオイルは医薬品としての使用することはできませんのでご注意ください)
①骨折の痛みに対するオレンジ精油の効果
骨折して緊急病棟に入院した患者さんに、オレンジのアロマオイル(精油)4滴を1時間ごとに使用することで、患者さんの骨折の痛みを和らげる効果が認められました。
研究内容
骨折して緊急病棟に入院した患者60名を対象に、オレンジのアロマオイルを使用する群と、使用しない群においての、痛みのスコア(VAS)とバイタルサインを比較した。アロマオイルは患者から20cm離れた場所に設置し、1時間ごとに4滴使用した。結果としてオレンジのアロマオイルを使用することで、患者の痛みを有意に軽減する効果が確認された。
オレンジのアロマオイルは、香りだけで痛みを和らげることができました。骨折などで痛みを感じた時に、オレンジのアロマオイルを吸入するだけなので、生活の中でも簡単に取り入れられそうですね。
②骨折の痛みに対するアロマトリートメントの効果
前腕を骨折し手術を行った患者さんに、アロマトリートメントを1日1回10分間2週間行うことで、鎮痛剤を使う回数を減らすことができました。アロマトリートメントは、ジンジャー、マジョラム、イランイランのアロマオイルを各2滴、保湿クリーム15gに混ぜたアロマゲルを使用しています。
研究内容
前腕を骨折した患者30名を対象に、トリートメントを行わないコントロール群、保湿クリームだけでのトリートメントを行った群、アロマトリートメントを行った群それぞれ10名ずつ振り分け、鎮痛剤の使用回数を比較した。各トリートメントは1日1回10分間2週間行い、術後1週からは温浴も実施した。結果としてアロマトリートメントを行う群において、「術後翌日〜1週間」「術後1週間〜2週間」とも、コントロール群と保湿クリームでのトリートメントを群より、鎮痛剤使用回数が有意に減少した。
保湿クリームでトリートメントをしてあげると痛みが緩和されるので、トリートメントは大事ですね。アロマオイルを加えるとさらに痛みを和らげてくれます。
③腎疝痛に対するローズ精油の効果
腎疝痛(じんせんつう)の患者さんに、従来の痛みに対する治療に加え、ローズのアロマオイルを使用することで、痛みを緩和させてくれる効果が認められました。
研究内容
腎疝痛(じんせんつう)の患者40名を対象に、従来の痛みに対する薬物療法に加え、ローズのアロマオイルを使用した群と、従来の痛みに対する薬物療法のみの群(対照群)での、10分後と30分後の痛みのスコア(VAS)を比較。結果としてローズのアロマオイルを使用することによって、10分後と30分後の痛みのスコアを有意に低下させた。
ローズのアロマオイルは、さまざまな痛みに対して使用されることが多く、甘く気品があふれる香りから女性特有の痛みにも使用されています→【記事まとめ】生理前/生理中のトラブルに効果的なアロマオイルの使い方
④変形性膝関節症の痛みに対するラベンダー精油の効果
変形性膝関節症の患者さんに、ラベンダーのアロマオイルを使ったトリートメントを行うことで、痛みを和らげる効果があります。
研究内容
変形性膝関節症の患者を対象に、ラベンダーのアロマオイルを使用したアロマトリートメントを行う群、アーモンドオイルのみでトリートメントした群、トリートメントを行わない群で、1週間後と4週間後の痛みのスコア(VAS)を比較した。結果としてラベンダーのアロマオイルを使った群において、1週間後の痛みのスコアを有意に低下させた。
⑤片麻痺性肩痛を伴う脳卒中患者へのトリートメント効果
片麻痺性肩痛を伴う脳卒中患者さんに、ラベンダー、ローズマリー、ペパーミントをブレンドした、アロマトリートメントを1日2回2週間、1回20分間行うことで、痛みを軽減する効果が認められました。
研究内容
片麻痺性肩痛を伴う脳卒中患者を対象に、ラベンダー、ローズマリー、ペパーミントをブレンドしたアロマトリートメントを行う群と、トリートメントのみの群での痛みのスコアを比較。トリートメントは1日2回2週間、1回20分間実施した。結果としてアロマトリートメントを行なった群は、トリートメントのみの群と比較して、痛みを有意に低下させた。
【参照】①Indian J Palliat Care. 2017 Oct-Dec; 23(4): 431–436.「The Effect of Aromatherapy with the Essential Oil of Orange on Pain and Vital Signs of Patients with Fractured Limbs Admitted to the Emergency Ward: A Randomized Clinical Trial」②「Journal of Japanese Society of Aromatherapy」 Vol.12 No.1:012-019③The Journal of Alternative and Complementary MedicineVol. 19, No. 4「Investigating the Effect of Aromatherapy in Patients with Renal Colic」④Complementary Therapies in Clinical Practice Volume 25, November 2016, Pages 75-80「Effect of aromatherapy massage with lavender essential oil on pain in patients with osteoarthritis of the knee: A randomized controlled clinical trial」⑤The Journal of Alternative and Complementary MedicineVol. 13, No. 2「Effects of Aromatherapy Acupressure on Hemiplegic Shoulder Pain And Motor Power in Stroke Patients: A Pilot Study」
【8種類のアロマオイル】骨折などの痛みを止める使い方とレシピ
5つの研究をご紹介させていただきましたが、アロマテラピーがさまざまな「痛み」に対して、使われていることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
①の研究ではオレンジのアロマオイルの香りだけで、痛みを和らげる効果が認められましたが、他の研究ではアロマテラピーの香りを与えることで、痛いと感じる許容範囲(閾値)が上昇した報告もあり、香りだけでも痛みに対して効果が期待できます。私が文献を読んでいて感じたのは、痛みを緩和させるためには、複数のアロマオイル(精油)をブレンドし、キャリアオイルで薄めたものでトリートメントを行う研究が多く、特にラベンダーを使った研究が多かったです。
痛みを緩和するための使い方
アロマオイルの香りを楽しむ
アロマオイルをアロマディフューザーや、アロマストーンを使って香りを使う方法がオススメです。ご紹介した研究では、オレンジのアロマオイルに痛みを和らげる効果が認められましたが、ラベンダーにも心身に対する癒しの香りで痛みを和らげる効果が期待できます。オレンジとラベンダーをブレンドしても、香りの相性が良いのでよかったら試してみてください。
アロマトリートメント
研究で使用された「痛みを緩和する8種類のアロマオイル」を3種類程度ブレンドして、キャリアオイルと混ぜ、優しくトリートメントしてあげる方法もオススメです。キャリアオイルを使用することで、アロマオイルの有効成分を運ぶことができますので、アロマオイルが2〜3%程度になるように、キャリアオイルを加えると良いでしょう。
痛みを緩和する8種類のアロマオイル
- オレンジ
- ジンジャー
- マジョラム
- イランイラン
- ローズ
- ラベンダー
- ローズマリー
- ペパーミント
アロマトリートメントオイルの作り方
用意するもの
- キャリアオイル:20ml
- アロマオイル(精油):8〜12滴 (8滴で2%濃度、12滴で3%濃度)
- ガラス容器(20ml用)
【作り方】
- キャリアオイルをガラス容器に入れる
- ガラス容器にアロマオイルを加え、軽く容器振る
※痛みの緩和目的に使用する場合は、広い範囲での使用になりますので、アレルギー反応が起きないか、パッチテストを実施してからご使用するようにしましょう→アロマオイルにも注意が必要!パッチテストの方法と判定時間
プラナロム「Cタイプマッサージオイル」
プラナロム/ケンソーから発売されている「Cタイプマッサージオイル」は、ラベンダー、イランイラン、ローズマリーなど9種類のアロマオイルがブレンドされているマッサージオイルで、アロマオイルが5%も含まれています。痛みに対して効果的なアロマオイル多く使われていますし、リラックスできる心地よい香りでもあるため、ストレスケアにもオススメです。Cタイプマッサージオイルを使って、優しくトリートメントしてあげてください。
ケンソー「レシピ102」
プラナロム/ケンソーから発売されている「レシピ102」は、ラベンダー、ローズマリー、ペパーミントなどがブレンドされているマッサージオイルで、日本人の肌にあわせて開発された商品です。アロマオイルが25%も含まれていて、私自身も筋肉痛や肩こりなどに使ってみましたが、とてもよかったのでオススメです。
いかがだったでしょうか?
「【8種類のアロマオイル】研究での骨折などの痛みを止める使い方とレシピ」に関して、ご紹介させていただきました。皆さんのお悩みの解決に少しでもお役に立てると嬉しいです。アロマテラピーには優れた「痛み」に対する効果が研究で発表されていますが、痛みが強いときは医師に相談したり、医療機関を受診するようにしましょう。