こんにちアロマ薬剤師のふみやです。今回は緊張をほぐすアロマで実力を最大限に!仕事やテストの時に効果的な方法についてご紹介します。
仕事での重要な会議やプレゼン、受験やテストなど、自身の人生を左右する大一番では、緊張しないはずがありません。努力してきたのに実力が発揮できなかったらどうしよう、仕事やテストのことを考えると緊張して何も手につかない、前日はドキドキして眠れないなど、皆さんも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?そんなときはアロマテラピーで緊張をほぐしてあげることがオススメ。過度な緊張を感じる人に対してアロマテラピーを用いた研究では、緊張を緩和する素晴らしい作用が報告されているほどなのです。私自身の外資系メーカーでの勤務経験、アロマテラピーの講師経験をまじえて、効果的なアロマテラピーの使い方をご紹介しますので、ぜひ読んでみてください。
緊張することは悪いことなのか?
まずはじめにお伝えしたいのは、”緊張する”、”緊張感を持つ”ことは決して悪いことではないということです。「人前でプレゼンをするとき、緊張してしまいうまく話せません。緊張しない方法はありますか?」、「テストで緊張のあまり焦ってしまい実力がだせません。どうすればいいですか?」などのように、よく質問されることがあります。多くの人が緊張は悪いものだととらえ、緊張をしないためにどうすればよいかを考えます。プレッシャーに強いとされる人は、全く緊張しないのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。もしかしたらそのように見えるかもしれませんが、ほとんどの人が緊張を感じており、90%以上の人が緊張するとの調査があります。それではプレッシャーに強い人と、緊張しすぎてしまう人は何が違うのでしょうか?
そもそも緊張するとは?
人は緊張すると、心臓がドキドキしたり、手に汗をかいたり、足がふるえたりなどします。これは自律神経のひとつである「交感神経」が過敏になることによって起こる反応であるとされています。交感神経が高まり緊張することは、本能的な反応であり、ごく自然なことです。人間はもともと敵と遭遇したときに、”身を守らなければならない”、”戦わないといけない”などと、交感神経を高めて、身体を活発にすることによって、命を守るようにできています。そのため仕事やテストで緊張することは、”目標を達成しなければならない”、”やりとげないといけない”と感じているためであり、責任感が強かったり、しっかりやろうとする気持ちの表れでもあります。もし全くやる気がないのであれば緊張することはありませんよね。このように緊張することは悪いことではなく、「やる気」があるからこそのサインなのです。
緊張をほぐすために必要なことは?
人は適度な緊張感やプレッシャーのもとで、最大のパフォーマンスを発揮すると考えられています。緊張感がなくても、強過ぎても高いパフォーマンスは発揮できません。責任感が強かったり、まじめな性格、物事をネガティブに考えてしまう人たちは、仕事やテストなどがプレッシャーとなり、交感神経が高まりすぎて過敏になってしまうことで、心臓のドキドキや手汗などがでやすく、焦りや不安を強く感じてしまいます。ほとんどの人が緊張を感じるなかで、プレッシャーに強いとされる人たちは、これらの緊張を適度なレベルにコントロールすることに優れています。緊張しすぎてしまう人は、緊張をなくすと考えるのではなく、過敏になった交感神経を抑えて、気持ちを落ち着かせてあげることが大切になるのです。
緊張をなくすと考えるのではなく、過敏な交感神経をおさえてリラックスすることによって、適度な緊張を維持してあげることが大切です
緊張をほぐす5種類のアロマオイル
香り成分をもつ植物から抽出されたアロマオイル(精油)は、心地よい香りで人々に癒しを届けてくれるだけでなく、有効成分が高濃度に凝縮された、いわばオーガニックの”恵”です。過度の緊張や不安を感じる人を救うべく、アロマテラピーをとりいれた研究が、日本だけでなく世界中で行われ、素晴らしい効果が報告されています。実際に日本で行われた研究では、看護学生がテストを受ける際にアロマテラピーを使うことによって、不安や緊張が低下したとの報告や、自律神経を整えることで緊張を緩和させる作用が報告があります。
緊張をほぐすアロマテラピー。日本では医療としてアロマテラピーを使うことができませんが、手術で緊張や不安を感じる患者さんに応用されることがあり、病院の看護師さんなどから10年間で35個の研究論文が投稿されています
なぜアロマが緊張をほぐしてくれるか?
好きな香りを使うとリラックスすると感じる人も多いのではないでしょうか?五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)のなかで、嗅覚だけが「ダイレクトに脳に伝わる感覚器」と言われています。香りは嗅覚を通じて脳の中にある大脳辺縁系(海馬や扁桃体など)に直接伝わることで、”好き嫌い、心地よいと感じる、不快と感じるなどの”感情”、睡眠欲、食欲、性欲などの”本能”に、香りによる刺激が大きく影響を及ぼします。そのためアロマオイルの心地よい香りと有効成分は、緊張や不安を強く感じる大脳辺縁系を効果的に癒してあげることができるのです。
香りと自律神経
大脳辺縁系の近くには間脳(視床下部)があり、嗅覚からの香りの情報が大脳辺縁系に伝わることで、自律神経系にも影響を与えることがわかっています。視床下部は自律神経の司令塔の役割を担っていて、交感神経と副交感神経のバランスを保つために働いていますが、仕事やテストなどのストレスが過度にかかると、自律神経のバランスが崩れ、交感神経が過敏になってしまいます。そのため自律神経のバランスが乱れてしまったときに、自律神経を整える作用をもった香りを直接的に視床下部に届けてあげることは、緊張をほぐすために”理にかなった方法”と言えます。
ラベンダー
アロマテラピーの万能精油ともよばれ、多くの人に親しまれているラベンダー。なかでも真正ラベンダー(ラベンダー・アングスティフォリア)の品種は、爽やかな甘酸っぱい香りが特徴で、最もラベンダーらしい香りと称されます。ストレスや緊張緩和、安眠を導く代表格でもあるラベンダーには、「リナロール」や「酢酸リナリル」が含まれており、乱れがちな自律神経を整えて、心を穏やかに保ってリラックスさせてくれます。ヨーロッパでは鎮静剤としても用いられるラベンダーは、緊張をほぐすために利用され、数多くの研究報告があります。仕事やテストが不安で眠れない夜に安眠を届けてくれる作用も期待できる優れものです。
ラベンダーはこんな人にオススメ
- 爽やかな甘酸っぱい香りに包まれたい
- 仕事やテストが不安で落ち着かない
- ドキドキして眠れない
- 香りの相性が良いアロマオイル:ベルガモット、クラリセージ、マジョラム
ベルガモット
ベルガモットの名前はイタリアの小都市ベルガモで、この木が最初に栽培されたことに由来すると言われています。柑橘系のフレッシュな香りにフローラルな甘さが加わった、透明感のあるアロマオイルの香りは、気分をリフレッシュさせてくれます。ベルガモットは「天然の抗うつ剤」と称されるほど、素晴らしい作用による精神面へのケアを得意としており、うつ症状や睡眠の質を改善する効果が研究報告されています。緊張によってストレスを感じるとき、イライラしてしまうとき、気分が落ち込こむときの、リフレッシュに使いたい香りの一つです。
ベルガモットはこんな人にオススメ
- 柑橘系の透明感のある香りでリフレッシュしたい
- 緊張によってストレスを感じる、イライラする
- 自分にはできないと感じて気分が落ち込む
- 香りの相性が良いアロマオイル:ネロリ、ゼラニウム、バジル
マジョラム
別名スイートマジョラム、和名マヨラナとよばれるマジョラム。幸せを象徴し、長寿を与えるハーブとして、古くから民間薬としてヨーロッパなどを中心に用いられてきました。爽やかでスパイシーなハーブの香りは、自律神経を整える作用に優れ、ストレスから心を開放してくれます。その作用は仕事を頑張りすぎて”燃え尽き症候群”になってしまうことを防いだり、仕事を終えたあとに使用することで疲労を回復させる、睡眠の質を向上させるなどの数多くの研究報告があり、忙しいビジネスパーソンの心強い味方となってくれます。甘味が強い香りやフローラルな香りがあまり好きでない人、男性にもオススメの香りです。
マジョラムはこんな人にオススメ
- 爽やかなスパイシーな香りが好き
- 仕事や勉強を頑張り過ぎてしまう
- 興奮して眠れない
- 香りの相性が良いアロマオイル:シダー、ペッパー、ラベンダー
サンダルウッド
日本では白檀(ビャクダン)の名前よばれているサンダルウッド。古くからお香の原料として馴染みがあり、邪気を払う効果があることから、仏教やヒンドゥー教の寺院で焚かれ、ヨガの瞑想のときなどにも用いられてきました。インド原産の植物であるサンダルウッドのアロマオイルは、甘く上品な深みのあるオリエンタル調の香りを持ち、執着心からおこる不安、怒り、嫉妬などを落ち着かせてくれます。幸せホルモンとよばれる「セロトニン」を増やす作用も持つサンダルウッドの香りは、心を穏やかに保ち、過敏になった交感神経を鎮めて自律神経を整えてくれるでしょう。
サンダルウッドはこんな人にオススメ
- 深みのあるオリエンタルな香りに癒されたい
- 周りの人の意見や評価が気になる
- 緊張から何も手につかなくなる
- 香りの相性が良いアロマオイル:ローズ、フランキンセンス、パチュリー
ペパーミント
スッキリとした爽快感のある香りで、多くの人に親しまれるペパーミントは、歯磨き粉やガムなどに用いられることでもお馴染み。スペアミントとウォーターミント交配種であるとされ、古くから食用・薬用としても世界中で親しまれてきました。ペパーミントの爽やかな香りは、緊張によってネガティブになってしまった気持ちを抑えて、やる気を引き出してくれます。集中力アップにも良いとされるペパーミントは、ほかにも吐き気を抑える作用や、ストレスによる腹痛、頭痛の緩和など、数多くの作用が研究報告されています。これらはペパーミントに含まれる香り成分「メントール」の働きが関与しているともされており、仕事やテストで忙しい人にとって、さまざまな症状に働きかけてくれるペパーミントは、欠かせないアイテムの一つです。
ペパーミントはこんな人にオススメ
- 爽快感のあるスッキリした香りが好き
- 仕事やテストに圧倒されて、やる気がでない、気持ちが落ち込む
- 腹痛、吐き気、頭痛に困っている
- 香りの相性が良いアロマオイル:柑橘系、ローズマリー、マジョラム
実力を最大限に!効果的なアロマテラピーの使い方
仕事での重要な会議やプレゼン、受験やテストなど、自身の人生を左右する大一番で、緊張をほぐして実力を最大限に発揮するための、アロマテラピーの使い方をご紹介したいと思います。
使うアロマオイルは、精油もしくはエッセンシャルオイルと記載された、良質なアロマオイルを選ぶようにしましょう。安価なアロマオイルは合成香料が使用されていて、研究報告されているような効果があまり期待できません。人生を左右する大一番でアロマテラピーを取り入れるのであれば、ご自身のために良質なアロマオイルを使ってあげてください。アロマオイルは、プラナロム/健草医学舎、生活の木、ニールズヤードなど、アロマ専門店から購入すると良いでしょう。プラナロム/健草医学舎のアロマオイルは、オーガニックでありながら、有効成分の管理も徹底されているため、アロマテラピー経験者から人気のブランドです。どのブランドから購入すれば良いかわからない人は、プラナロム/健草医学舎を使うことが個人的なオススメです。
本番までの緊張ケアとして
アロマディフューザーやアロマストーンを使って、部屋に香りを満たしてあげましょう。アロマテラピーを用いた研究では、10分でも緊張をほぐす作用が報告されているため、10〜20分間香りを使用すると良いです。なかなか時間が作れないと感じる人も多いと思いますが、緊張を感じすぎたり、焦りすぎている状態では、高いパフォーマンスは発揮できません。ご自身がリラックスできる環境で、10分でも良いのでゆっくりと香りを楽しむための時間を確保してあげましょう。ドキドキして眠れない人は、夜のリラックスタイムや、就寝前・就寝時などにアロマオイルを使うことがオススメです。本番前日だけではなく、1週間ほど前から緊張ケアとしてアロマテラピーを取り入れ、徐々に香りに馴染みを持たせておくことが良いでしょう。
本番直前の緊張ケアとして
本番直前の会場ではアロマディフューザーなどを使うことができないため、コットンやティッシュにアロマオイルを2滴垂らして、深呼吸するように香りを吸い込むと良いでしょう。本番1時間前にラベンダー、ベルガモット、マジョラム、サンダルウッドなどで、過度の緊張をほぐしてあげ、本番30分前に、やる気や集中力を高めるペパーミント、ローズマリー、グレープフルーツなどを使うことも、効果的でオススメです。
オススメのアロマテラピー
ニールズヤードから販売されているアロマパルスシリーズは、塗るタイプのアロマです。コンパクトでスタイリッシュなデザインになっているため、本番の会場への持ち運びにも便利で、サッと取り出して塗るだけで使うことができる優れもの。「アロマパルスリラクセーション」は、ラベンダー、ベルガモット、フランキンセンスなどがブレンドされており、花々に包まれているようなほんのり甘く穏やかな香りで、リラックスさせてくれ、過度の緊張をほぐすために効果的です。「アロマパルススタディ」は、頭をクリアにして、集中力を高めるアロマオイル(グレープフルーツ、ローズマリー、スペアミントなど)がブレンドされており、やる気がおきないとき、本番直前のモチベーションアップにオススメです。
いかがだったでしょうか?
「緊張をほぐすアロマで実力を最大限に!仕事やテストの時に効果的な方法」をご紹介させていただきました。オーガニックの”恵”を活用したアロマテラピーは、緊張や不安で悩む人たちの自律神経を整え、パフォーマンスを最大限にするために働きかけてくれます。簡単な方法でもアロマテラピーを取り入れることができますので、ぜひ試してみてください。ご紹介した内容が皆さんのお役に立てると嬉しいです。
参照研究:Effects of blended aromatherapy using lavender and damask rose oils on the test anxiety of nursing students、A literature review of relaxation intervention for perioperative patients in Japan (1999-2008)