こんにちはアロマ薬剤師のふみやです。今回は【【生理痛/生理中 記事まとめ】アロマが癒す効果的な5つの症状別レシピをご紹介していきたいと思います。
腹痛だけでもツラい生理痛。腹痛以外にも寝られない、吐き気がする、出血が多い、全身がだるい、気分が落ち込むなど、さまざまなトラブルが心身に起こり、お困りになるのではないでしょうか?そんなときはアロマテラピーがおすすめ。アロマテラピーは生理中のトラブルに悩む女性を救うべく、症状緩和のための数多くの研究が行われてきました。それらの研究のなかから症状別のブレンド、使い方をまとめました。生理中のトラブルでお悩みになっている方は、ぜひ読んでみてください。
生理中におこる症状の原因とは
生理中におこる病的症状の全般を月経困難症と言います。生理痛は月経困難症のひとつの症状で、月経困難症の症状は人によってさまざまです。もっとも多いのは腹痛であり、それについで多いのが腰痛、頭痛などの痛みになります。痛みの他にも、全身のだるさ、気分の落ち込みなどの、心に対する症状や、おなかの緩み、便秘、吐き気などの症状があらわれることもあり、多くの女性を悩ませます。
月経困難症の原因
生理中におこる心身に対するさまざまな症状は、主な原因として「プロスタグランジン」という物質が引き起こしているとされています。プロスタグランジンは、子宮を収縮されることによって、経血の排出をスムーズにしてくれますが、プロスタグランジンの分泌量が多すぎることで、子宮や血管を収縮させ、腹痛、頭痛、腰痛などがおこるとされています。またプロスタグランジンは、胃腸の働きを活発にする作用をもっています。そのことによって胃腸に不快感を感じ、吐き気を感じてしまうのです。これらの症状はストレスを感じたときに、症状が強くなる特徴があります。
月経困難症の治療
痛みに対しては、痛みの原因物質(プロスタグランジン)を抑える、ロキソニンなどの鎮痛薬(NSAIDs)、症状を改善する漢方薬を使った対症療法や、低用量卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合製剤(低用量ピル)を使った内分泌療法などが治療として使用されます。日本ではあまり生理痛に低用量ピルを使用されることは周知されていませんが、フランスでは30%以上の女性が使用しています。一般的に生理による出血量が半分以下になるとされるほどの高い効果を持っており、最近ではオンライン診療で低用量ピルが処方されることも増えていますので、生理中のトラブルでお悩みの方は利用してみることも良いでしょう。
生理中の痛みの原因として、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などによって、引き起こされている可能性もありますので、症状がひどく続くようであれば、婦人科を受診するようにしましょう。
生理中におこる心身のトラブルをアロマテラピーが緩和する
オーガニックの有効成分が凝縮されたアロマオイル(精油)には、生理中におこる、さまざまな心身のトラブルに効果的です。痛みを抑える直接的な作用をはじめ、心地よい香りによって、寝られない、吐き気を感じる、イライラしてしまう、気分が落ち込むなど、身体だけでなく、心にたいしても癒しを与えてくれます。アロマテラピーはそのまま香りを吸入する方法や、アロマオイルを使ったアロママッサージがおすすめです。
海外では医療としてアロマテラピーが用いられている国もあり、全世界で行われたラベンダーとローズを使った、19個のアロマテラピー研究を解析したところ、「吸入(香りだけ)」、「アロママッサージ」として、アロマオイルを用いることで、月経困難症のさまざまな症状を、緩和してくれる効果が認めれらています。(研究参照①)
アロマテラピーを使うときの注意点
生理によっておこる心身のトラブルを和らげるのために、アロマテラピーを使うときは、「精油」もしくは「エッセンシャルオイル」と記載された、品質の高いアロマオイルを選ぶように注意しましょう。精油に含まれる有効成分が直接痛みを緩和したり、精油の香り分子が、脳へと届けられることによって、痛みを和らげたり、癒しを与えリラックスさせてくれます。100円均一などで販売されているアロマオイルは、合成香料が使用されているため、精油本来の効果が期待できません。香りを楽しむだけであれば100円均一などで販売されているアロマオイルでも良いですが、しっかり効果を実感したいときは、プラナロム/健草医学舎、生活の木、ニールズヤードなどの、アロマ専門店で販売されている、精油もしくはエッセンシャルオイルと記載された、良質なアロマオイルを使うようにしましょう。
生理痛とイライラを和らげるアロママッサージ
- ラベンダー
- ローズ
- ラベンダー + クラリセージ + マジョラム
- ラベンダー + クラリセージ + ローズ
- シナモン + クローブ + ローズ + ラベンダー
これら5種類のアロマオイルのブレンドレシピを使うことで、生理痛を緩和する効果が認めれらた研究があります。これらのアロマオイルには、優れた痛みを和らげる作用を持っていて、心地よい香りとともに、生理痛、イライラ、ストレスを優しく包み込み癒しを与えてくれます。
アロママッサージオイルの作り方
スイートアーモンドオイルなどのキャリアオイル20mlをガラス容器に入れ、アロマオイルを8滴程度加えて、軽く混ぜ合わせるだけで、簡単にアロママッサージオイルを作ることができます。毎日10分間お腹あたりを優しくマッサージしてあげることと良いでしょう。アロマオイルをキャリアオイルに加えることによって、身体の奥までアロマオイルの有効成分を届けることができます。
クラリセージ
和名はオニサルビアとよばれ、女性特有のトラブルに優れた作用をもつ「クラリセージ」。クラリセージに含まれるスクラレオールは、女性ホルモンのエストロゲンに似た作用を持っており、女性ホルモンのバランスを整えてくれます。「女性のためのハーブ」ともよばれるほどの植物で、アロマオイルの香りは甘みのある優しい香りに、少しスパイシーな香りを併せ持ちます。香りによって憂鬱な気持ちを忘れさせてくれ、明るく前向きな気分にさせてくれます。生理による痛みや、気分が優れないときには心強い味方に。またクラリセージは幸せホルモンとよばれる「オキシトシン」を増やす作用も持っているので、女性に嬉しいアロマオイルです。
そのほかのアロマオイルの特徴や、詳しい研究内容はこちらの記事を参考にしてみてください→【生理痛を和らげるアロママッサージ】5種類の効果的なブレンドレシピ
薬が効かない生理痛に効果的なローズのアロマオイル
人によっては生理痛のときに、ロキソニンなどの鎮痛薬を使うこともあるかと思います。鎮痛剤とローズのアロマオイルによるマッサージを組み合わせることによって、鎮痛作用が増強された研究報告があり、鎮痛剤では抑えきれないツラい痛みを感じたときには、ローズのアロマオイルを使うと良いでしょう。そのときのアロママッサージオイルは、ローズが2%濃度になるようにブレンドしてみてください。
ローズ
甘く気品あふれる香りで多くの女性を魅了する「ローズ」。ローズは心身のトラブルを癒す作用に優れており、生理痛だけでなく、生理前のイライラなどの月経前症候群(PMS)、更年期障害においても、有効であることが多くの研究で報告されています。優雅でフローラルな香りは、憂鬱な気分を明るく元気してくれるとともに、鎮痛作用に優れる「ゲラニオール」の有効成分によって、直接的に痛みを緩和してくれます。ローズのアロマオイルは、さまざまな角度から生理による心身のトラブルに優しく寄り添ってくれるのです。
水蒸気蒸留法で採油されてものをローズオットー、溶剤抽出で採油されてものをローズアブソリュートといい、ローズオットーは16℃以下になると固化していきます。採油量の少ないローズオットーのほうが高価であるため、偽物が流通することがあり、本物の天然ローズであることを見分けるために、冷蔵庫などで冷やして固化するかどうかで見分けることもあります(固化しても手などで温めれば液体に戻ります)。高価なアロマオイルでもあるので、生活の木から販売されている、1mlなどの少量のものを購入されたりすることも良いでしょう。
鎮痛剤を使うときには注意が必要です。注意点やローズの研究を詳しく知りたい方はこちらを参考にしてみてください→【薬が効かない生理痛にはアロマがおすすめ】心身への作用で痛みを抑え
生理トラブルで寝れない夜に使いたいラベンダーの香り
ラベンダーのアロマオイルの爽やかな甘酸っぱい香りは、生理痛で悩む女性の心身を落ち着かせて、心地よい眠りに導いてくれます。「生理が始まった3日間の1日30分、ラベンダーのアロマオイルの香りを取り入れる」ことによって、生理による痛みを軽減する研究報告がありますので、そのまま試してみることがオススメです。夜のリラックスタイムや、寝室に香りを使うと良いでしょう。
ラベンダー・アングスティフォリア
アロマテラピーの万能精油ともよばれ、多くの人に親しまれているラベンダー。なかでも「真正ラベンダー(ラベンダー・アングスティフォリア)」の品種は、爽やかな甘酸っぱい香りが特徴で、もっともラベンダーらしい香りと称されます。ラベンダー・アングスティフォリアは、リナロールや酢酸リナリルの成分を多く含んでいるため、生理痛を和らげるだけでなく、憂鬱な気分、イライラしてしまう気持ちなども軽減してくれる効果が期待でき、心地よい眠りに導いてくれるでしょう。その作用はオキシトシンと同じように、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」を増やすともされており、気持ちを明るく前向きにさせてくれるため、ぜひ使っていただきたいアロマオイルのひとつです。
ラベンダーのアロマオイルを使った、おすすめブレンド商品を知りたい方はこちらをご覧ください→【寝れない生理痛をアロマの香りが和らげる】ラベンダーの効果的な使い方
出血が多い生理のときに使いたいマッサージブレンド
シナモン、クローブ、ローズ、ラベンダーのアロマオイル(精油)を、ブレンドしたアロママッサージを行うことで、生理の出血、生理の痛み、痛みの持続を緩和してくれる効果が期待できます。このブレンドのマッサージオイルは、生理前7日間使うことで、ツラい生理痛や出血を予防してくれる作用があることが、研究からもわかっているため、生理前から使うと良いでしょう。
シナモン
世界最古のスパイスともよばれる「シナモン」は、紀元前4000年頃前からミイラの防腐剤として、エジプトで使われ始めました。甘く気分を高揚させてくれる香りが特徴的で、日本では正倉院に宝物として奉納され「薬物」としても古くから利用されてきました。シナモンは身体を温める作用を持っており、冷えからくる生理痛などの痛みを得意としています。シナモンのアロマオイルは、葉付き小枝から採油されるもの、樹皮から採油されるもの、葉から採油されるものがあります。葉から採油されるシナモンリーフには、オイゲノールが多く含まれており、優れた鎮痛作用や、痛みを緩和する麻酔作用を持っています。またシナモンのアロマオイルには、ケラチンやコラーゲンの生合成を促し、美肌効果もあるため女性に嬉しいアロマオイルのひとつです。
ご自身の出血が多いのかわからない場合は、こちらの記事を参考にしてみてください→【出血が多い生理をアロマが癒す】続く痛みと大量出血を和らげるブレンド
吐き気ケアに使いたいアロマオイルの香り
20%以上の女性が経験する「生理による吐き気」。ケアの仕方がわからず、我慢している方も多いのではないでしょうか?生理による吐き気を和らげるためには、ペパーミントのアロマオイルがオススメです。ペパーミントのアロマオイルをディフューザーを使って香りを楽しんだり、コットンやティッシュにアロマオイルを垂らして、深呼吸するように吸い込む方法も効果的です。
ペパーミント
スッキリとした爽快感のある香りで、多くの人に親しまれる「ペパーミント」は、歯磨き粉やガムなどに使われることでもお馴染み。ペパーミントは幅広い優れた作用を持っていることがわかっており、吐き気、腹痛、頭痛などの緩和を目的として、古くから伝統療法としても用いられてきました。数多くの研究において、吐き気を緩和する効果が認められていますが、なぜペパーミントが、吐き気の緩和に良いのかは完全にはわかっていません。一部の研究ではペパーミントに含まれるメントールが作用して、吐き気を抑えるともされています。いずれにせよ素晴らしい作用を持っているため、吐き気を抑えるために取り入れたいアロマオイルのひとつです。またペパーミントの香りには、心を落ち着かせて、心身をリフレッシュさせてくれるため、心のケアにもおすすめです。
ペパーミントの以外にも、吐き気を緩和してくれる効果的なアロマオイルがあります→【生理中の吐き気をアロマが緩和する】4種類の香りによる対処法と使い方
いかがだったでしょうか?
「【生理痛/生理中 記事まとめ】アロマが癒す効果的な5つの症状別レシピ」をご紹介させていただきました。オーガニックの有効成分を活用したアロマテラピーは、生理によるさまざまな症状に対して効果が期待できます。心地よい香りによっても心身をリラックスさせ、癒しを与えてくれるので、ぜひ試してみてください。皆さんのお悩み解決に少しでもお役に立てると嬉しいです。生理中だけでなく、生理前のイライラなど、生理前トラブルにもアロマテラピーは有効です。よかったらこちらの記事も参考にしてみてください→【生理前/中のアロマ記事まとめ】生理痛、イライラなど症状別7レシピ
研究参照①:J. Clin. Med. 2018, 7(11), 434「Aromatherapy for Managing Pain in Primary Dysmenorrhea: A Systematic Review of Randomized Placebo-Controlled Trials」