こんにちはアロマ薬剤師のふみやです。【アロマオイルをブレンドすると効果が高まる】抗菌・殺菌作用の研究論文をご紹介したいと思います。
アロマテラピーでアロマオイル(精油)を使うときには、複数の種類をブレンドすると香りに深みが増して変化を楽しめるので、お好きな方も多いのではないでしょうか?実はアロマオイルをブレンドすることは香りの変化だけでなく、抗菌・殺菌作用においても相乗効果があることがわかりました。今回は抗菌・殺菌作用において相乗効果が確認された研究のご紹介と、アロマオイルをブレンドする理由をご紹介していきたいと思います。アロマテラピーを使う上でも知っておきたい内容になりますので、ぜひ読んでみてください。
アロマオイルをブレンドすると抗菌・殺菌効果が高まる
アロマオイル(精油)に含まれる「リナロール」「酢酸リナリル」「テルピネン-4-オール」を組み合わせてブレンドすることで、抗菌・殺菌作用が高まることが研究結果として発表されました。リナロールや酢酸リナリルは、ラベンダーのアロマオイルに代表される有効成分で、テルピネン-4-オールはティートゥリーなどに多く含まれます。
研究内容
リナロール、酢酸リナリル、テルピネン-4-オールを、単独もしくは組合せることでの、大腸菌に対する抗菌・殺菌作用(阻止円の大きさや阻止円外での大腸菌数など)を検討した。結果としてリナロールとテルピネン-4-オールを組合せた場合、リナロール単独での阻止円面積は11.6cm2 、テルピネン-4-オール単独で4.57 cm2 であったが、組み合わせることで18.3cm2と阻止円の面積は増加した。また酢酸リナリル単独では阻止円を確認できなかったものの、リナロールと組み合わせることで、阻止円外での大腸菌数がリナロール単独で使用するときよりも、大幅な低下が認められた。
リナロールを多く含むアロマオイル
イランイラン、クラリセージ、ゼラニウム、タイム、ネロリ、バジル、プチグレン、ベルガモット、ホーウッド、ラベンダー、ローズウッド
酢酸リナリルを多く含むアロマオイル
カルダモン、クラリセージ、ネロリ、プチグレン、ベルガモット、ラベンダー
テルピネン-4-オールを多く含むアロマオイル
ジュニパー、タイムツヤノール、ティートゥリー、ナツメグ、マジョラム
参照:香りの抗菌活性の評価方法の改変と香り分子の 組合せによる抗菌活性の向上
なぜアロマオイルをブレンドすると抗菌・殺菌効果が高まるのか?
細菌の種類や部位によって、水に溶けやすい性質のアロマオイルの成分が効果を発揮しやすかったり、水に溶けにくい性質(油に溶けやすい性質)の成分が効果を発揮しやすかったりします。
病気を起こすことのある細菌として、大腸菌、黄色ブドウ球菌、結核菌などがありますが、細菌はDNAを含む核様体、細胞質、細胞膜、細胞壁などから作られています。アロマオイルの抗菌・殺菌作用は、主に細胞膜に吸着することで、細胞膜を破壊し効果を発揮するとされています。
大腸菌を例にすると
大腸菌の表面は親水性であるため、水に溶けやすい性質を持った成分が浸透しやすく、抗菌・殺菌効果が強いとされています。リナロールは水に溶けやすい性質を持っており、酢酸リナリルは水に溶けにくい性質をもっているので、リナロールのほうが大腸菌には効果があるのです。しかしながら、細胞膜に到達するまでには細胞壁や、細胞壁の外側にある外膜などを突破する必要があり、それらがアロマオイルの成分の侵入を邪魔します。外膜は親油性であるため、油に溶けやすい性質(水に溶けにくい性質)の成分が浸透しやすく、リナロールより酢酸リナリルが効果的になります。
このように水に溶けやすい性質の成分が効果的な部位や、細菌の種類があったり、水に溶けにくい性質の成分が効果的であったりするため、別々の性質をもったアロマオイルの有効成分を使うことで、相乗的な効果が発揮されるのです。ご紹介した研究の他にも、クローブ、タイム、ラベンダー、ペパーミントのアロマオイルを組み合わせることで、著しい相乗効果が確認された研究があり、アロマオイルは複数の種類をブレンドするとより効果的になります。
難しい内容ですよね…、例えば、力自慢の人だけが集まって家を立てようとしても、うまくいかないこともありますが、設計図を描くひとがいたり、現場で指示を出す人など、それぞれの個性を活かして家を立てる方が上手くいくことがあります。そのようなイメージを持っていただければ大丈夫です!
アロマオイルの成分や効能を理解してブレンドする
風邪はウイルスや細菌など、さまざまな微生物が感染することによって起こります。そのため1つのアロマオイルだけでなく、抗ウイルス作用を持ったアロマオイルや、抗菌作用を持ったアロマオイルを複数ブレンドするとより効果的になります。
それは一つのウイルスや細菌だけでも、水に溶けやすい性質が有効な部分や、水に溶けにくい性質が有効な部分があり、またウイルスや細菌が複数合わさって、病気を引き落とすことがあるので、違う角度から抗ウイルス作用をもつアロマオイルの成分や、抗菌作用をもつ成分を届けてあげる必要があります。感染症予防だけでなく、筋肉痛であれば「炎症」と「痛み」を取り除くことが必要であり、「炎症」を抑える作用をもつアロマオイルや、「痛み」を抑える作用をもつアロマオイルを組み合わせたり、炎症を抑えるためにも、複数のアロマオイルを使うことで、さまざまな角度から炎症を抑えてくれるので効果的なのです。アロマオイルのブレンドは2〜3種類程度からはじめて、アロマテラピーに慣れてきたら、より多くのアロマオイルをブレンドすると良いでしょう。感染症予防や抗菌・殺菌効果に関する記事を他にも書いていますので。ご興味がればご覧ください。
生活の木 「マスクスプレー」
生活の木から発売されているマスクスプレーは、抗菌・殺菌作用のあるアロマオイルがブレンドされており、マスクの外側にスプレーするだけで簡単に使うことができます。感染症予防のためや、マスクをして出かけるときに、気分をリフレッシュさせてくれるのでオススメです。オレンジ、ペパーミントがブレンドされた、清涼感のあるシトラスミントの香りの「シトラスミント」。レモンバーム、フランキンセンスがブレンドされた、さわやかなグリーンハーバルの香りの「レモンバーム」。ティートゥリー、ペパーミントがブレンドされた、鼻に抜けるようなすっきりとしたフレッシュな香りの「ティートゥリー」の3種類があります。
ニールズヤード 「ハーバルハンドフレッシュナー」
ニールズヤードから発売されている「ハーバルハンドフレッシュナー」は、手洗い代わりに使えて、ハーバルグリーンの心地よい香りも楽しめるハンドスプレーです。アルコールが70%含まれているので、消毒用エタノールの代替品として「手指消毒」に使うことができ、シナモンリーフやタイム、ラバンジンなどのアロマオイルもブレンドされています。手が洗えないときに、シュッとスプレーするだけで、清潔感あふれるクリーンな手肌に整えてくれるので、外出するときに持っておくと重宝するのでオススメです。
いかがだったでしょうか?
「【アロマオイルをブレンドすると効果が高まる】抗菌・殺菌作用の研究論文」をご紹介させていただきました。ご紹介した内容が皆さんのお役に立てると嬉しいです!アロマオイルは香りに深みを持たせたり、いろいろな用途に使用するためにも、数種類ブレンドすることに挑戦してみてください。