こんにちはアロマ薬剤師のふみやです。
今回はアロマオイル(精油)のブレンド方法に関してご紹介したいと思います。アロマオイルを買ってみたものの「何をブレンドしていいかわからない」「いつも同じような香りになってしまう」「思った通りの香りにならない」とお悩みになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。アロマオイルをブレンドする際はブレンド方法も重要ですが、香りの相性や分量の目安なども大切になります。アロマ初心者の方に特におすすめのブレンドに関する「まとめ記事」になっていますので、ぜひ読んでください。
調香〜香りのブレンド方法〜
2つ以上の香りをブレンドして快い香りの効果を生み出すことを調香(ちょうこう)と呼び、香りがバランスよく調和する組み合わせをみつけることを「アコードをとる」、それがバランスよく調和していることを「アコードがとれている」と表現します。
調香において、1つ1つのアロマオイルの香りを嗅いでイメージを覚えることは重要で、それをもとに他のアロマオイルを加えて調香していきます。ブレンドする手順は下のように行うと良いので参考にしてみてください。
①目的・テーマを決める
まずはブレンドする目的やテーマを決めます。例えば「夜にリラックスした」「ぐっすり眠りたい」「仕事に集中したい」「肩こりや筋肉痛を解消したい」などです。単純に好きな香りにしたい!でも大丈夫です。下のようなことをイメージすると、より具体的にブレンドすることができます。
- When:朝、昼、夕方、夜、寝る前など
- Where:自宅、職場、デートなど
- Why:ぐっすり眠るために、仕事に集中したい、魅惑的な香りを身に付けたいなど
②メインとなるアロマオイルを決める
①でテーマや目的を決め、それに合致する効果や香りのあるアロマオイルを1〜2種類選びます。
③サブのアロマオイルを決める
②で決めたメインのアロマオイルに対して「香りの相性」や「効果の補完」を考えながらサブのアロマオイルを決めていきます。「香りの相性」は次項のブレンドのコツを参考にしてみてください。「効果の補完」は、例えば筋肉痛に使うブレンドオイルを作ると考えていた場合、メインのアロマオイルは痛みをとる「鎮痛効果」が優れているものを選び、サブのアロマオイルには「抗炎症効果」が優れているものを選ぶと、より効果的なブレンドオイルを作ることができます。そのように効果をサブのアロマオイルで補完してあげることが「効果の補完」になります。
筋肉痛を治すには「痛み」と「炎症」を抑えることが大切です
④濃度を決め、各アロマオイルの割合や滴数を決める
最終ステップになります。ブレンドするアロマオイルが決まったら、最終的に作るブレンドアロマオイルの濃度や各アロマオイルの割合、滴数を決めブレンドしていきましょう。マッサージオイルを作るのであれば顔は2%以下、体は3%以下が良いでしょう。アロマオイルの濃度計算方法を知りたい方はこちらを参考にしてみてください。→【アロマオイルの希釈】簡単2ステップでできる濃度計算方法
ブレンド方法はご理解いただけたでしょうか?ブレンドする際のコツもありますので、3つご紹介させていただきます
ブレンドのコツ①【香りの相性】
アロマオイルにはそれぞれ香りの相性があります。ブレンドする際にアロマオイルを7つに分類し、香りの組み合わせ決める方法ご紹介します。
柑橘類 | オレンジ、グレープフルーツ、ベルガモット、マンダリン、レモン、ゆずなど |
ハーブ類 | セージ、タラゴン、クラリセージ、タイム•ツヤノール、ヒソップ、ペパーミント、ファンネル、マジョラム、レモングラスなど |
樹木類 | サイプレス、シダー、ジュニパー、パイン、ユーカリ•ラディアタ、ティートゥリー、ホーウッドなど |
スパイス類 | キャラウェイ、クローブ、コリアンダー、シナモン、ジンジャー、ペッパー、スターアニス、ローレルなど |
樹脂類 | ベンゾイン、ミルラ、フランキンセンスなど |
オリエンタル | サンダルウッド、パチュリー、ベチバー、ロータスなど |
花 | イランイラン、ネロリ、ローズ、カモマイル•ローマンなど |
同じグループや近いグループのアロマオイルをブレンドすることで、まとまりが良い香りのブレンドを作りやすくなります。あえて対角や離れたグループにあるアロマオイルをブレンドして、香りに深みを持たせることもテクニックとしてありますが、まずは同じか近いグループでブレンドしてみてください。香りの相性をより詳しく知りたい方はこちらを参考にしてみてください。→【香りの相性】調香師が使う簡単ブレンドアロマオイルの作り方
ブレンドのコツ②【ブレンド量と割合の目安】
ブレンドのコツの2つ目として、ブレンド量や割合の目安に関してご紹介していきたいと思います。ブレンド量の目安(それぞれのアロマオイルの比率)を考える上で「ブレンドファクター」があります。
ブレンドファクター
ブレンドファクターとは、アロマオイルの香りの強さや皮膚への刺激に対する安全性を考慮して経験的に定められた値であり、どのような比率でブレンドするのかの目安になる指標です。数字が小さいものは香りの個性が強いため、ブレンド量を少なくして使うことがポイントです。
アロマオイルのブレンドファクター
アロマオイル名 | 数値 | アロマオイル名 | 数値 |
イランイラン | 3 | バジル | 2 |
オレンジ | 3 | フランキンセンス | 3 |
カモマイル•ローマン | 1 | ペパーミント | 1 |
カモマイル・ジャーマン | 1 | ペッパー | 1 |
カルダモン | 1 | ベルガモット | 4 |
クラリセージ | 3 | ベンゾイン | 1 |
グレープフルーツ | 4 | マジョラム | 3 |
サイプレス | 5 | マンダリンミルラ | 5 |
サンダルウッド | 6 | ミルラ | 1 |
シダーウッド | 3 | メリッサ | 1 |
ジャスミン | 2 | ヤロウ | 1 |
ジュニパー | 4 | ラベンダー | 7 |
ジンジャー | 2 | ユーカリ | 1 |
ゼラニウム | 3 | レモン | 3 |
ティートゥリー | 3 | レモングラス | 1 |
ネロリ | 2 | ローズ | 1 |
パチュリー | 1 | ローズマリー | 2 |
※メーカーによってもブレンドファクターは異なります
量の目安に関して詳しい情報や計算方法を知りたい方は、こちらを参考にしてみてください。→【量の目安】調香師が使う簡単ブレンドアロマオイルの作り方
ブレンドのコツ③【香りの持続性】
ブレンドする際にアロマオイルの香りの持続性を考えることも大切です。香りの持続性はアロマオイルそれぞれの「香りの揮発度」や「ノート」といった揮発性が重要になります。
ある香りはすぐに消えてしまったり、ある香りは長く持続するのは、香りの成分の揮発性の違いによっておこります。香り立ちの時間が早い(揮発性が高い)ものから「トップノート」、「ミドルノート」、「ベースノート」に分けられます。
トップノート
香り立ちが最も早く香りを嗅いだ時に一番はじめの印象を与えます。香りの持続時間は「すぐ〜2時間程度」であり、主には20〜30分間香りが持続します。柑橘類やハーブ類に多くみられます。
【トップノートのアロマオイル】
アカマツ•ヨーロッパ、オレンジ•スイート、カモマイル•ローマン、カユプテ、グレープフルーツ、コリアンダー、シトロネラ、ジュニパー、スターアニス、セージ、タイム•チモール、タイム•ツヤノール、ティートゥリー、ネロリ、バジル、パルマローザ、プチグレン、ベルガモット、ニアウリ•シネオール、マジョラム、マンダリン、ホーウッド、ユーカリ・ラディアタ、ラヴィンツァラ、ラベンダー•アングスティフォリア、ラベンダー•スピカ、リトセア、レモン、レモングラス、ローレス、ローズウッド
ミドルノート
トップノートの次に香り立ちが早いグループです。香りの持続時間は「2〜4時間」で、ハーブ類、フローラル類、樹木類、スパイス類などの多くが分類されます。香りの全体の骨格となります。
【ミドルノートのアロマオイル】
アジョワン、アトラスシダー、イランイラン、ウインターグリーン、オレガノ、カルダモン、カモマイル•ジャーマン、クラリセージ、クローブ、サイプレス、シダー、シナモン•カッシア、ジャスミン、ジンジャー、ゼラニウム•エジプト、セロリ、タイム•サツレオイデス、タナセタム、ナツメグ、ファンネル、フランキンセンス、ブラックスプルース、ペッパー、ペパーミント、ヘリクリサム、ユーカリ•レモン、ローズ、ローズマリー•カンファー、ローズマリー•シネオール、ローズマリー•ベルベノン
ベースノート
香り立ちが遅く持続時間は『6時間以上』も持続します。樹木類やオリエンタルがベースノートに分類されます。
【ベースノートのアロマオイル】
クミン、サンダルウッド、スパイクナード、タラゴン、トゥルーバルサム、パチュリー、ベチバー、ロックローズ、ミルラ、ベンゾイン
オススメの比率
これらの「トップノート」「ミドルノート」「ベースノート」をバランスよくブレンドすることで、良い香りを持続させることができます。人によって好みのバランスは異なりますが、私のおすすめの比率としては「トップノート40%」、「ミドルノート40%」、「ベースノート20%」です。持続性の詳しい情報や各ノートのブレンド割合を詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてみてください。→【香りの持続性】調香師が使う簡単ブレンドアロマオイルの作り方
ブレンドアロマオイルの作り方(例)
筋肉痛に対してマッサージオイル作るとしてブレンドする
スポーツをした翌日に辛い筋肉痛を残さないためのマッサージオイルを作ることを例にしたいと思います。スポーツ後に自宅で使用する予定で日中に使いたいと考えています。
使うのは自宅だから効果を第一優先にしたいので、メインは痛みを軽減したり抗炎症効果のある「レモングラス」にしよう!筋肉の痙攣も予防したいので、サブは「イランイラン」なんてどうだろう?
香りの相性
「レモングラス」はハーブ類、「イランイラン」は花の香りだから…、柑橘系の香りは相性が良さそうだしリラックス効果も期待して「ベルガモット」をブレンド。ベースノートの香りがないのでリンパの流れもよくしてくれる「パチュリー」も加えよう!
濃度の計算・アロマオイルの割合と持続性
30mlのキャリアオイルにブレンドして2%濃度にしたいから、アロマオイルは合計12滴。「トップノート40%」「ミドルノート40%」「ベースノート20%」の割合と考えると、「トップノート5滴」「ミドルノート5滴」「ベースノート2滴」ぐらいにしようかな?レモングラスとパチュリーはブレンドファクターの数値が小さいので、少なめにブレンドしたほうが良さそうだな。
- レモングラス 2滴
- ベルガモット 3滴
- イランイラン 5滴
- パチュリー 2滴
よしこれにしよう!!
こんな感じでブレンドアロマオイルを作っていきます。ご紹介したコツや割合を意識し過ぎてしまうと、なかなかアロマオイルを決められなくなってしまいますので目安として使ってくださいね。ブレンドの手順は下記になります。
【用意するもの】
- キャリアオイル 30ml
- アロマオイル:12滴
- ガラス容器
【作り方】
- ガラス容器にキャリアオイルを入れる
- ガラス容器にアロマオイルを加え、軽く容器振る
微調整したい時
ブレンドアロマオイルを作るときに、最初に決めたアロマオイルの割合ではイメージした香りにならないことがあります。香りの微調整を行いながらブレンドする方法として「ステップ法」と「バランス法」があります。この方法でブレンドしていくと失敗も少なくなりますので、ぜひ試してみてください。
ステップ法
はじめに2つもしくは少数のアロマオイルでバランスをとり、別のアロマオイルを加えていくブレンド方法です。自分自身が好きなアロマオイルの配分を知ることができますし、一気に全てをブレンドする訳ではないので、失敗が少ないブレンド方法です。時間はかかりますがブレンドに慣れていなければステップ法で行うことをおすすめします。
バランス法
ブレンドする全てのアロマオイルを大雑把に加えたあとに、全体を考えながら微調整する方法です。ある程度ブレンドに慣れてきた時に試めしてみてください。
おすすめの学習方法
アロマテラピーの学習方法としてもちろん独学でも習得することができますが、せっかく勉強するのであれば様々なアロマオイルの香りを楽しむことも大切です。
アロマテラピーのスクールではしっかり学ぶことができますので、私としては最もおすすめです。もしスクールに通う時間がなかったり、ご自身だけでアロマテラピーを楽しむ場合は「生活の木」から発売されている「エッセンシャルオイル入門セット」などで様々なアロマオイルの香りを試してみることも良いと思います。
ユーキャンでアロマテラピー検定をとる
アロマテラピーを勉強しながらアロマテラピー検定を取得したい場合「ユーキャン」もおすすめです。勉強内容もしっかりしていますし、アロマテラピーのクラフトに必要なセットなどが付いていて、アロマスプレーやバスソルトなどを作りながら学習でき今回ご紹介した内容も試せます。
ユーキャンは資料請求をするだけでエッセンシャルオイルのサンプルをもらうことができるのでお得ですよ!
いかがだったでしょうか?
みなさんがアロマオイルをブレンドする際の役に立てると嬉しいです。ぜひいろいろなブレンドを試してみてください!アロマテラピーの資格などについてもっと詳しく知りたい方はこちらを参考にしてみてください。
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