こんにちはアロマ薬剤師のふみやです。【高齢者を元気にするアロマの香り】両親の抑うつや不安に効果的な使い方をご紹介したいと思います。最近両親の元気がない、物ごとに興味を持たなくなった、いつも落ち着かないなど、そのように実感することはないでしょうか?もしかしたらそれは「老人性うつ」かもしれません。うつ病はビジネスパーソンや主婦がなるイメージがありますが、60〜70代高齢者での発症が増えています。
そのようなときにはアロマテラピーがおすすめです。アロマオイルの香りには、うつの気分や不安を優しく包み込んで、癒してくれる効果があります。実際に高齢者のうつ患者さんに行われたアロマテラピーの研究があり、元気にする効果が認められています。どのようなアロマオイルが良いのか、またアロマテラピーの使い方もご紹介しますので、ぜひ読んでみてください。
高齢者で増えているうつ病
高齢者におけるうつ病は年々増加傾向にあり、厚生労働省の調査によると平成13年では43万人であったのに対して、平成20年には104万人と倍増しています。「老年性うつ」とは正式な病名ではありませんが、65歳以上がかかるうつ病のことを呼びます。元気がない、物ごとに興味を持たなくなった、いつも落ち着かないなどの精神症状にくわえ、食欲不振、頭痛やめまい、肩こりなどの身体症状が現れることがあります。一緒に暮らしている両親でも心配になりますが、離れて暮らしているならなおさらですね。
老人性うつの原因
老人性うつは、仕事上のストレスによって起こるというよりは、自身の喪失体験がきっかけではないかと考えられています。ちょっとして運動で転ぶ、重い病気にかかった、簡単なことができず情けないと感じる、などの心理的要因や、退職した、配偶者との死別、仕事や趣味がなくやることがない、などの環境要因などが関与しています。そのように「若い頃は、こんなはずではなかった…」などの喪失体験や、環境の変化によって抑うつ状態に発展してしまいます。
精神症状
- 元気がでない、気分が落ち込む
- 物ごとに興味を持たなくなった
- 集中できない
- 喜びや悲しみなどの感情が少なくなった
- いつも落ち着かない、不安になる
- 自分に価値がないと思う
身体症状
- 睡眠障害(不眠、睡眠過多)
- 食欲不振
- 疲れやすい
- 全身倦怠感
- 頭痛やめまい
- 肩こり
老年性うつと認知症
老年性うつと認知症は合併することも多く、認知症の前段階として、うつが現れることがあります。2つの病気には似ている症状が多く、うつによって「気分の落ち込み」や「集中できなくなった」などの症状がある、見かけ上の認知症であれば、うつをケアしてあげることで改善が期待できます。疑いがあれば、まずは精神科や心療内科などの専門医に相談すると良いでしょう。
高齢者を元気にするアロマテラピーの研究
アロマオイル(精油)の心地よい香りを利用した「芳香浴」や、「アロママッサージ」を行うことで、高齢うつ患者さんの気分を改善し、元気にしてくれる作用が期待できます。アロマテラピーには、抑うつ状態や不安を癒してくれる優れた効果があり、日本国内だけでなく、海外においても数多くの研究が行われてきました。今回は2つの研究に関してご紹介したいと思います。
研究①芳香浴
高齢者183名を対象に、ラベンダーのアロマオイルを使った群、カモマイルのアロマオイルを使った群、アロマオイルを使わなかった群の3つのグループに分け、抑うつ状態、不安、ストレスなどを比較検討した。アロマオイルは1.5%濃度に希釈し、30日間夜に3滴使用した。結果として、ラベンダーとカモマイルのアロマオイルを使った群は、アロマオイルを使わなかった群と比較して、1ヶ月後の抑うつ状態、不安、ストレスを有意に改善した。
研究②アロママッサージ
軽度のうつ病を有する患者5名を対象に、オレンジスウィート、ゼラニウム、バジルのアロマオイルを使ったアロママッサージを行い、抑うつ状態、気分、認知機能を比較検討した。アロママッサージは4週間の間に、週2回30分実施。結果として「錯乱-とまどい」のスコアが大幅に改善され、認知機能の指標である「固執応答」においても改善が確認された。
参照:研究①「The effects of Lavender and Chamomile essential oil inhalation aromatherapy on depression, anxiety and stress in older community-dwelling people: A randomized controlled trial」、研究②「The effect of aromatherapy massage on mild depression: A pilot study」
【抑うつや不安に効果的】元気にするアロマテラピーの使い方
ラベンダー、カモマイル、オレンジスウィート、ゼラニウム、バジルのアロマオイル(精油)を使った、芳香浴やアロママッサージを行うことで、高齢者の「抑うつ状態」や「不安」を優しく包み込んで、癒してくれる効果が期待できます。
芳香浴としてアロマテラピーを使う場合は、アロマディフューザーで部屋を香りで満たしてあげたり、アロマストーンにアロマオイルを垂らして、香りを楽しむ方法がおすすめです。アロママッサージは、寝る前やお風呂上がりなどのリラックスタイムに使うと良いでしょう。
ラベンダー
アロマテラピーの万能精油ともよばれ、多くの人に親しまれているラベンダー。なかでも真正ラベンダー(ラベンダー・アングスティフォリア)の品種は、爽やかな甘酸っぱい香りが特徴で、リナロールや酢酸リナリルの成分によって、不安な気持ちやストレスを軽減する作用に優れています。また多くの研究において、良質な睡眠をサポートする効果も認められているため、眠れなくて悩んでいるときに使いたいアロマオイルのひとつです。寝る前に芳香浴として香りを使ったり、お風呂上がりやリラックスタイムに、アロママッサージとして使うこともおすすめです。
プラナロム/健草医学舎から発売されている「No.111」のマッサージオイルには、ラベンダー・アングスティフォリアやマンダリン、ラヴィンツァラなど、リラックスに効果的なアロマオイルがブレンドされていて、ラベンダーの香りと、柑橘系のフレッシュな香りがマッチしており、高齢者のかたにも親しみやすい香りになっています。プラナロム/健草医学舎は、オーガニックでありながら、品質の管理も徹底されている品質のアロマオイルであるため、アロマテラピー経験者からも人気のブランドです。
カモマイル
古くから薬草としても使われてきたカモマイルは「大地のリンゴ」というギリシア語に由来しており、その名の通りリンゴに似た甘酸っぱさを持った心地よい香りが特徴的です。神経のバランスを回復させる作用があり、うつ病や精神疾患に対して海外では用いられ、緊張やイライラを優しく包み込んでくれます。炎症や肌荒れを抑える作用にも優れているため、スキンケアにも人気のアロマオイルです。ラベンダーと同じように、寝る前やリラックスタイムに香りを楽しんだり、アロママッサージとして使うと良いでしょう。
オレンジスウィート
爽やかで甘くフルーティーな香りが多くの人に好まれるオレンジスウィート。普段「オレンジ」として食べているのがオレンジスウィートであり、果皮から採油したものがアロマオイルとして使われています。甘く優しい香りはリラックスやリフレッシュにも適していて、明るく元気にさせてくれます。日中でも夜でも使いやすいアロマオイルなので、使用されるかたが香りを楽しみたいタイミングで使うと良いでしょう。オレンジスウィートは、マッサージではなく、アロマオイルの香りを楽しんだり、ルームスプレーなど香りを重視したブレンドにおすすめです。
ゼラニウム
ローズのような香りを持つことからも、ローズゼラニウムとも呼ばれるゼラニウムは、甘みの中にわずかにミントのような香りがします。お肌のツヤやハリを取り戻すゲラニオールが含まれており、スキンケアにもよく使われ、ホルモンバランスを整える作用もあることから、月経困難症や更年期障害を癒す効果が研究でも認められています。心を落ち着かせてくれる香りと優れた作用により、女性人気の高いアロマオイルです。
ニールズヤードからは、ゼラニウムやローズなどが使用された「ルームフレグランススプレーカーミング」があり、気分が落ち込んでいるときや、リフレッシュしたいときに、シュッとひと吹き使うと、優雅な香りが幸福感を運んでくれます。ゼラニウムも使いたい時間を選ばないアロマオイルでもあるので、香りを楽しみたいときに使うと良いです。
バジル
英名の「王の」という意味に由来するともされるバジルは、料理にも多用されるインド原産の植物です。バジルのアロマオイルは、清々しくスパイシーな香りで、頭をスッキリとさせ、集中力を高めてくれる作用があります。元気がでないとき、自信が持てないときなどに使いたいアロマオイルで、香りが気分を明るくさせてくれます。集中力を高めたり、覚醒作用があるので、日中に香りを楽しむことがおすすめです。
いかがだったでしょうか?
「【高齢者を元気にするアロマの香り】両親の抑うつや不安に効果的な使い方」をご紹介させていただきました。みなさんのお悩み解決に少しでもお役に立てると嬉しいです。アロマオイルの心地よい香りには、気分が落ち込んでしまったときや、不安を感じたときなどに寄り添ってくれ、気持ちを明るく元気にさせてくれる作用があります。簡単な方法でもアロマテラピーは使えますので、大切なご両親や友人などに、ぜひプレゼントしてあげてください。