こんにちは、アロマ薬剤師のふみやです。今回は口の乾燥・ねばつきなどの口のトラブル「ドライマウス」に関してご紹介していきたいと思います。
皆さんは「口が乾燥している」「唾液が出ない」「口がねばつく」「食べ物が飲み込みにくい」などとお困りになったことはありませんか?それはもしかしたらドライマウスかもしれません。
ドライマウスに関してのご紹介と、効果的なアロマテラピーの使い方とアロマオイルレシピをご紹介したいと思います。ぜひ読んでみてください。
ドライマウスとは
ドライマウスは「口腔乾燥症」といわれ、唾液の分泌量が減ることにより、口の中や喉が乾燥した状態が続くことです。ドライマウスの症状が最も多く現れるのは40代後半から60代で、男性より女性のほうが多いのが特徴です。800万人がドライマウスの症状を有しているとされています。
ドライマウスの症状
ドライマウスの症状は下記のようなものがあります。ご自身にも当てはまるかセルフチェックしてみてください。
- 口が乾く
- 口がねばつく
- 唾液が溜まっている
- 水をよく飲む
- 話しづらい
- 食事しづらい
- おいしくない
- 舌が痛い
- 口臭が気になる
- 寝ていると口がからからになる
- 入れ歯が合わなくなる
- 入れ歯で口の中が傷つきやすい
- 虫歯や歯周病になったり、増悪する
ドライマウスの原因
ドライマウスの症状はさまざまな病気によっておこります。ドライマウスとドライアイの両方を持っている方に多いのが、シェーグレン症候群という自己免疫疾患です。更年期の女性に多く発症する疾患で、糖尿病や肝疾患、高血圧症などの基礎疾患がある場合もドライマウスの症状を引き起こす原因となります。また薬の副反応からドライマウスとなるケースも増えています。主な薬はとしては抗不安薬、抗うつ薬、鎮痛剤、利尿剤、抗高血圧薬、抗ヒスタミン剤などです。種類が多岐にわたるため、病院にかかる際は飲んでいる薬を伝えるようにしてください。また過度のストレスがかかると、唾液の分泌が抑制されてドライマウスを引き起こします。
ドライマウスの診断・治療
ドライマウスの診断は、その原因が何かを探すことから始まります。問診、自覚症状や他覚症状からドライマウスが疑われると唾液の分泌量を測定します。正常であれば口呼吸や精神科的疾患などを疑います。唾液が減少していれば、シェーグレン症候群か否かの検査を行います。
ドライマウスの治療は、診断に基づき治療あるいは対処(口腔ケア)がなされますが、原因となる病気やお薬ががわかればその除去が第一となります。シェーグレン症候群では主に唾液分泌促進薬が用いられ、そのほかには症状や原因に併せて、漢方薬、抗真菌薬、保湿剤、口腔清掃、虫歯や歯周病の治療、入れ歯の作製や調整などといった治療や対処が行われます。またドライマウスにはストレスなどの神経性因子の関与も大きく、規則正しい生活、適度な運動、バランスのとれた食生活、ストレスの除去などを行う必要があります。
ドライマウスの対策
ドライマウスの対策として、あさの歯科クリニック院長の浅野和正先生が推奨するのは、下記になりますので参考にしてみてください。
“唾液の分泌を促すための運動「健口運動」です。唾液腺のマッサージ、ほおの体操、舌の体操を一日一回でもいいので、続けてみましょう。湯舟などリラックスした状態で行うとより効果的です。さらに甘味料が入っていない、キシリトール入りのチューイングガムをかむのもいいでしょう。唾液の分泌が促されます。避けたいのは、アルコールとコーヒーです。アルコールは水分を蒸発させる働きがあり、コーヒーには利尿作用があります。いずれも飲みすぎないようにしましょう。また喫煙は口腔内だけでなく、体全体に悪影響を及ぼすので、禁煙を心がけましょう。参照:わくわく健康情報館”
ドライマウスに対する研究と効果的なアロマオイルレシピ
ご紹介する研究は、平成歯科クリニックの小谷泰子先生が発表されたデータになります。ドライマウスの症状を有する患者さんにアロマテラピーを行い、症状が改善するのかを調べています。研究内容にご興味がなければ、最後の項目のアロマテラピーの使い方をご覧いただき、日々の生活でのアロマテラピーの使い方の参考にしてみてください。
研究内容
ドライマウスの症状を有する患者20例(平均64.3歳)を対象に、カルダモン、シナモン、グレープフルーツを2:2:1でブレンドしたアロマオイルを使用した前後の「安静時唾液分泌量」、「口腔不快感」とストレスの指標である「唾液中アミラーゼ」を比較した。20例のうち9例がシェーングレン症候群であり、アロマオイルはプラナロム社のものを使用し、3ヶ月間携帯可能ディフューザーで香りを吸入した。
研究結果
【安静時唾液分泌量】
アロマテラピーを使用することによっての、全体での唾液量の有意な増加は認められなかった(P=0.06)。20例中12例で安静時唾液分泌量増加し、増加した12例のうち7例がシェーグレン症候群であった。
【口腔不快感】
アロマテラピーを使用することで口腔乾燥感、口腔粘稠感(口のねばつき)、味覚異常が有意に改善した。
【唾液中アミラーゼ】
アロマテラピーを使用することで、ストレスの指標である唾液中アミラーゼが有意に低下した。
参照:Japan Journal of Aromatherapy Vol. 16, No. 2, 2016「ドライマウス症例に対するアロマテラピーの効果に関する パイロットスタディ」
ドライマウスに対する研究から考えられること(私見)
今回の研究結果としてカルダモン、シナモン、グレープフルーツをブレンドしたアロマオイルは、ドライマウスの口の乾燥やねばつきなどの症状、ストレスを改善しました。
残念ながら全体として唾液量の有意な増加はなかったものの、20例中12例(シェーングレン症候群7例)増加したのは驚きのデータではないかと思います。シェーングレン症候群の根本的な治療が確立されていないなかで、論文の著者の小谷先生はアロマテラピーに期待されています。ドライマウスの口の乾燥やねばつきなどの症状改善、またストレスの軽減が期待できますので、特にストレスを感じた時に症状が出る方にアロマテラピーは効果的であると思います。
ドライマウスに対して効果的なアロマテラピーの使い方
ここからはご紹介した研究をもとに、効果的なアロマテラピーの使い方をご紹介したいと思います。
今回の研究ではカルダモン、シナモン、グレープフルーツを2:2:1でブレンドしたアロマオイルを、ディフューザーで香りを吸入する方法が取られました。このブレンドオイルは甘くスパイシーでエキゾチックな香りでありながらも、バランスが取れた香りになっているので、そのまま取り入れることが良いと思います。アロマディフューザーやアロマストーンを使って、ご自宅で香りを楽しむことがおすすめです。アロマストーンを使用する場合はカルダモン2滴、シナモン2滴、グレープフルーツ1滴を使ってみてください。
プラナロム社のアロマオイル
研究ではプラナロム社のカルダモン、シナモン、グレープフルーツが使用されました。プラナロムのアロマオイルはオーガニックであり、有効成分の管理も徹底されている高品質なアロマオイルなので、アロマテラピー経験者からも人気の高いブランドです。他のアロマオイルより少し値段は高くなりますが、しっかりと効果を期待したい時などにご使用されるのがオススメです。
アロマオイルの香りを持ち歩く
外出先でもアロマオイルの香りを持ち歩きたい方におすすめなのが、生活の木などから発売されている「アロマシール」や「アロマネックレス」です。アロマシールはアロマオイルを数的垂らして、服の裏側や目立たない部分に貼り付けるだけで香りを持ち運ぶことができ、アロマネックレスも中に入っている芯にアロマオイルを垂らすことで簡単に使うことができます。ご自身が香りを楽しむことはもちろんですが、ほのかに香るアロマオイルが香水のような働きもしてくれます。
ハーブティー
アロマオイルではありませんが、口の中の環境を整えるためにはハーブティーもおすすめです。生活の木から発売されている「温巡ジンジャーブレンド」は、カルダモンやシナモン、ルイボスなど11種類のハーブがブレンドされており、爽やかな香りのジンジャーをベースに、心と体を芯から温めリラックスさせてくれます。
いかがだったでしょうか?
「口の乾燥・ねばつきはドライマウス⁉︎効果的なアロマオイルレシピ」をご紹介させていただきました。ドライマウスでお困りの方に少しでもお役に立てると嬉しいです!アロマテラピーは簡単な方法でも行えますので、ぜひ試してみてください。