こんにちはアロマ薬剤師のふみやです。今回は【生理前のダルさ、うつ状態に使いたいアロマ】癒しの香りでメンタルケアをご紹介したいと思います。
生理前になるとなんだか体調が優れないという方も多いのではないでしょうか?生理前には「ダルい」「何もしたくない」「気分が落ち込む」「イライラする」など、心にツラい症状を感じる女性は少なくありません。ツラい症状があるのにも関わらず、毎月のことだからしかたないと思い、頑張って乗り切っているのではないでしょうか。そんなときはアロマテラピーによるメンタルケアがおすすめです。生理前の心のトラブルに悩む女性を救うべく、アロマテラピーを用いた研究が世界各国で行われ、精神的症状を緩和した報告が数多くあります。どのようなアロマオイルが効果的なのか、またそれらを使った簡単なメンタルケア方法をご紹介しますので、ぜひ読んでみてください。
生理前のダルさ、うつ状態に効果的なアロマオイル
心地よい香りを持ったアロマオイル(精油)には、オーガニックの有効成分が凝縮されており、生理前におこるツラい心身トラブルに癒やしを与えてくれます。その効果を検証した研究は2020年時点で200件を超えるほど。世界中で広く愛用されるアロマテラピー、そのなかでも「ダルい」「何もしたくない」「気分が落ち込む」「イライラする」などの心の症状には、ローズ、ユズ、ラベンダー、クラリセージがオススメです。これらのアロマオイルを生理前のメンタルケアをしてとり入れることで、心身トラブルを緩和し、気持ちを明るく前向きにさせてくれる効果が期待できます。
アロマテラピー研究
日本を含む、各国で行われた信頼性の高い8つのアロマテラピー研究を解析したところ、アロマオイルを吸入することで、月経前症候群の心理的症状、身体的症状、合計症状スコアを有意に改善する効果が認められた。研究で使用されていたアロマオイルは、ネロリ、ローズ、ラベンダー、ユズ、ゼラニウム、クラリセージであり、香りを吸入した時間は5〜35分であった。改善が認められた症状は多岐に渡り、倦怠感、抑うつ状態、拒絶反応による涙、感受性の増加、怒り、絶望感、集中力の低下、過眠、エネルギー不足、乳房の圧痛、頭痛、筋肉や関節の痛み、腹部膨満、体重増加、混乱、腹痛などに対して有効であった。
アロマテラピーを用いることによって、「ダルくて何もしたくない」などの、心の症状を緩和するだけでなく、身体におこる症状を緩和してくれる効果が期待できるのです
生理前のダルさ、うつ状態を感じる原因とは?
生理前におこるダルさ、うつ状態、イライラ、頭痛、胸の張りなどのさまざま心身トラブルは、「月経前症候群(PMS)」とよばれ、生理前3〜10日の間におこる、精神的あるいは身体的症状のことで、生理開始とともに軽快したりなくなったりしていきます。月経前症候群は20〜30代の女性で多くみられ、70〜80%の女性が何らかの症状を経験するとされています。そのなかでも心の症状が強く現れる状態を、「月経前不快気分障害(PMDD)」とよび、ダルい、何もしたくない、気分が落ち込む、イライラするなど、感情コントロールが難しくなります。
ダルい、うつ状態になってしまう原因
月経前症候群と同じように、月経前不快気分障害の原因は未だはっきりと分かっていませんが、女性ホルモン「プロゲステロン」のバランスが関係しているとされています。排卵後から生理前(黄体期)にかけて分泌されるプロゲステロンは、基礎体温を上昇させたり、水分をためたり、食欲を増進させるなど、妊娠しやすいような体を作る働きをしています。しかしながらプロゲステロンは、幸せホルモンとよばれる「セロトニン」を減少させることが知られており、そのことによって、ダルい、何もしたくない、気分が落ち込む、イライラするなど、心への影響を受けやすくなるとされています。またプロゲステロンによって基礎体温が上昇することによって、熱っぽく感じることで、ダルさや眠気を感じることがあります。
ホルモンバランスの変動によっておこる生理前トラブル。しっかりと心のケアをしてあげることが大切です。適度な運動をしたり、ストレスをためないために本を読む、映画を観るなどしてリラックスすることも良いでしょう。また日光を浴びることによって、セロトニンの量を調整する作用が期待できますので、日光浴でエネルギーを注入することも効果的です
生理前のダルさ、うつ状態に効果的なアロマテラピーの使い方
ローズ、ユズ、ラベンダー、クラリセージを使ったアロマテラピーには、月経前症候群のダルい、何もしたくない、気分が落ち込む、イライラするなどの、ネガティブな感情に癒しを与えてくれ、症状を緩和してくれる効果が期待できます。
それらの症状が出てきてツラいときに、アロマオイルの香りを使うことも良いですし、生理2週間前から毎日のメンタルケアとして用いることで、症状を予防する効果も期待できます。アロマオイルの心地よい香りをアロマディフュザーや、アロマストーンなどを使って、10分程度深呼吸するように集中して香りを吸入してみてください。ティッシュやコットンにアロマオイルを2滴垂らして香りを楽しむ方法もオススメです。
アロマオイルとキャリアオイルをブレンドして、アロママッサージしてあげることも、生理前トラブルには効果的です。痛みやむくみなどでお困りのときはアロママッサージも良いでしょう。ご紹介した方法以外にも、さまざまな症状にアロマテラピーは有効なので、よかったらこちらの記事も参考にしてみてください→【生理前/中のアロマ記事まとめ】生理痛、イライラなど症状別7レシピ
アロマオイルを選ぶときの注意点
アロマテラピーとしてアロマオイルを使うときは、精油もしくはエッセンシャルオイルと記載された、良質なアロマオイルを使うようにしてください。100円均一などで販売されているアロマオイルには、合成香料が使われており、精油の有効成分を含んでいないため効果が期待できません。香りを楽しむだけであれば、100円均一のアロマオイルでも良いですが、しっかりと心身のケアをしたいときは、良質なアロマオイルを選ぶようにしましょう。プラナロム/健草医学舎、生活の木、ニールズヤードなどの、アロマ専門店のアロマオイルを選ぶと良いでしょう。
ローズ
世の女性を魅了する、甘美でセクシャルな香りの「ローズ」は、香りによって女性の心身トラブル解決に活躍してくれます。その作用は月経前症候群だけでなく、生理中トラブル、更年期障害にも有用であることが数多くの研究で報告されていて、ローズに含まれるゲラニオールの成分が、ツラい症状で落ち込んでしまった気持ちを高めることで、心のケアとして働いてくれます。イライラ、頭痛、胸の張りなどの症状にも効果的であり、心身に幅広く癒しを与えてくれます。万能な効果をもつローズのアロマオイルですが、値段が高く使ってみたいけどなかなか手が出せないことも、、、そんなときはローズのアロマオイルを使ったブレンド精油を購入したり、1ml単位の少ない量から購入できる店舗を探してみると良いでしょう。個人的には生活の木から販売されている有機ダマスクローズが、1mlから購入でき、オーガニックのローズを使っているのでオススメです。
ユズ
爽やかな柑橘系の香りのなかに、温かさと苦味をあわせ持つ「ユズ」。料理のアクセントに使われたり、柚子湯として心地よい香りを楽しみながらお風呂に入るなど、古くから日本人に愛されてきました。和精油の代表的なユズのアロマオイルは、倦怠感によってやる気がでないと感じる心に寄り添い、希望やポジティブな考えを与えてくれます。仕事や勉強を頑張らないといけない日中に使うと、気持ちを前向きに明るくさせてくれるので良いでしょう。私自身もユズのアロマオイルの香りが好きでよく使うのですが、爽やかな心地よい香りが元気にしてくれます。圧搾法で採油されたユズのアロマオイルは、ユズの香りを強く楽しむことができ、水蒸気蒸留法で採油されたユズのアロマオイルは、やわらかく優しい香りです。やわらかい香りがお好きな方は、生活の木で販売されているアロマオイルを試してみると良いと思います。
ラベンダー
アロマテラピーの万能精油ともよばれ、多くの人に親しまれているラベンダー。なかでも「真正ラベンダー」(ラベンダー・アングスティフォリア)の品種は、爽やかな甘酸っぱい香りが特徴で、最もラベンダーらしい香りと称されます。ラベンダーに含まれるリナロールや酢酸リナリルの成分は、落ち込んだ気持ちを癒やし、心を穏やかに保つ作用に優れています。プロゲステロンによって少なくなってしまった、幸せホルモン「セロトニン」を増加させたり、心地よい眠りを導いてくれる嬉しい作用がたくさん。うつ状態だと感じるときの夜に使ってあげることで、心強いメンタルケアとして活躍してくれるでしょう。
クラリセージ
「クラリセージ」はフローラルな甘みのあるハーブ調の香りで、女性人気が高いアロマオイルのひとつ。クラリセージには、女性ホルモンのエストロゲンに似た「スクラレオール」とよばれる成分が含まれており、ホルモンバランスを整える作用があります。その優れた作用によってダルい、何もしたくない、気分が落ち込む、イライラする気持ちに癒しを与えてくれ、生理前トラブルの心強い味方になってくれます。またクラリセージにはセロトニンと同じように、幸せホルモンとよばれる「オキシトシン」を増やす作用をもっており、さまざまな角度からネガティブな気持ちに作用してくれます。
いかがだったでしょうか?
「【生理前のダルさ、うつ状態に使いたいアロマ】癒しの香りでメンタルケア」をご紹介させていただきました。オーガニックの有効成分を活用したアロマテラピーには、生理前トラブルに悩む女性に癒しを与え、症状を緩和してくれる効果が期待できます。簡単な方法でもアロマテラピーを使うことができますので、ぜひメンタルケアとして使ってみてください。ご紹介した内容が皆さんのお悩み解決に少しでもお役に立てると嬉しいです。
参照:The Effects of Aromatherapy on Premenstrual Syndrome Symptoms: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Clinical Trials