こんにちは、アロマ薬剤師のふみやです。今回は更年期障害に対するアロマテラピー研究のまとめについてご紹介したいと思います。
更年期症状は70〜80%の女性が経験し、精神的な「気分の落ち込み、イライラ、睡眠障害」、身体的な「肩こり、腰痛、動悸、めまい、頭痛、だるさ」などのつらい症状を伴います。
アロマオイル(精油)は、更年期障害やその症状に対して国内外で使用されており、数多くの効果が報告されています。みなさんが普段の生活でもアロマテラピーを取り入れられるように、具体的な使い方もご紹介していますので、ぜひ読んでみてください。
更年期障害とは
更年期障害の主な原因は、女性ホルモン(エストロゲン)の激しい変動、減少によっておこります。一般的には平均閉経年齢は約50歳とされ、前後5年間の45〜55歳の間が更年期にあたります。その期間におこる他の病気ではない症状を「更年期症状」、その症状によって日常生活に支障をきたす状態を「更年期障害」といいます。
閉経後しばらくすると、女性ホルモンが減少し安定しますが、更年期の間には過剰に分泌されたり、減少したりとバランスが乱れます。そのことによって、様々な更年期症状が発現すると考えられています。
更年期症状
血管運動による神経症状
ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり、発汗)
その他の身体の症状
肩こり、腰痛、便秘、吐き気、動悸、冷え、めまい、頭痛、疲れやすい(だるさ)
心の症状
気分の落ち込み、イライラ、睡眠障害(不眠、眠気)、不安感
更年期障害に対する研究【ゼラニウムの効果】
ゼラニウムのアロマオイル(精油)を垂らしたシールを、襟元に付けて生活を送ることで「更年期症状」「不安感」を有意に減少させ、「活力」「友好的な気分」を有意に増加させる効果が研究で発表されています。
研究内容を詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてください→【イライラ、だるさ、眠気に効果的】更年期障害に対するアロマオイル
更年期障害に対する研究【ゼラニウム】に対する私見
この研究では「ゼラニウム」のアロマオイル(精油)を、アロマシールに垂らして使用するだけで更年期症状の改善が確認されました。アロマシールを使うと、お出かけの際にも香りを楽しむことができ、簡単にアロマオイルを使うことができます。また不安が軽減され、活力が向上するという精神面でもポジティブな結果が得られているため、不安な気持ちを癒す時にアロマテラピーを使ったり、更年期症状で外出するのが億劫(おっくう)になっている時に使うと、明るく前向きな気持ちにさせてくれます。
アロマシール・ネックレス
アロマ雑貨店の生活の木などから「アロマシール」が発売されています。アロマシールにゼラニウムのアロマオイル(精油)を1〜2適垂らして、お出かけの際に服の目立たない部分(ジャケットの裏側)などに貼り付けることで、簡単に使用することができます。その他にも「アロマネックレス」にアロマオイルを垂らして使用すると、オシャレに香りをまといながら、お出かけすることができるのでオススメです。
更年期障害に対する研究【ラベンダーの効果】
ラベンダーのアロマオイル(精油)を1回20分、1日2回、12週間使うことによって、ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり、発汗)の回数を軽減される効果が研究で発表されています。
またラベンダーのアロマオイルを単独で使ったり、他のアロマオイルと組み合わせてラベンダーを使うことで、「睡眠の質」「性機能」「自尊心」「不安」「血圧」の改善効果が確認された研究もあります。研究内容を詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてください→更年期障害の研究で発表されたラベンダーオイル6つの効果
更年期障害に対する研究【ラベンダーの効果】に対する私見
私が調べた中では、もっとも更年期症状の改善を目的に使用されているのがラベンダーのアロマオイルでした。また統計学的に信頼性の高いデータであるメタアナリシスにおいても、「ラベンダー」のアロマオイルには効果が認められており、精神的だけでなく身体的にも更年期障害に有用であることがわかりました。特にホットフラッシュは2つの試験で効果が確認されており、効果が期待できそうです。またなかなか寝付けない、寝てもすぐに起きてしまうなどの、睡眠に対するトラブルにもラベンダーが癒しを届けてくれます。
生活の木「ネムリラ」
生活の木から発売されている、ネムリラのシリーズはラベンダーをはじめ、クラリセージ、プチグレイン、カモマイル・ジャーマンなど、リラックス効果の高いアロマオイルがブレンドされており、花の香りと柑橘系の香りがマッチしたシリーズです。「ブレンドオイル」から「リードディフューザー」、枕に使用する「ピロースプレー」などがあり、リラックスタイムや寝る前に使うと、心地い眠りをサポートしてくれます。
更年期障害に対する研究【アロママッサージの効果】
ラベンダー、ローズゼラニウム、ローズ、ローズマリーのアロマオイル(精油)を、4:2:1:1の割合でブレンドしたマッサージオイルで、アロママッサージを行うことで、更年期障害における症状を改善した研究が発表されています。
アロママッサージで使用されたオイルは、アロマオイル3%濃度のマッサージオイルで、アロマオイルをアーモンドオイル90%とイブニングプリムローズオイル10%で希釈しています。1回30分、週2回を4週間(計8回)、アロママッサージを実施することで、更年期障害における症状が改善しました。
研究内容を詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてください→女性更年期障害に効果的なアロママッサージ【レシピ・時間・期間】
更年期障害に対する研究【アロママッサージの効果】に対する私見
研究では、アロママッサージ、アロマオイルを使用しないマッサージ、マッサージを実施しない、この3つの群で効果の違いを検討しています。アロマオイルを使用しないマッサージでも更年期症状の改善効果がありましたが、アロママッサージを行うほうが更年期症状の改善効果が高いことがわかりました。その効果はアロママッサージを行うことで、更年期症状の程度(MRSスコア)が約半分になるほど大幅な改善がありました。
アロマテラピーの研究で使用されたマッサージオイルを作る
ご紹介した研究で使用されたのは、下記のブレンドになります。全量40mlの3%濃度マッサージオイルを作る時の分量を記載しておきますので、よかったら参考にしてみてください。
- ラベンダー:12滴、ローズゼラニウム:6滴、ローズ:3滴、ローズマリー:3滴
- アーモンドオイル:36ml
- イブニングプリムローズオイル:4ml
ガラス容器にアーモンドオイルとイブニングプリムローズオイルを入れ、それぞれのアロマオイル(精油)を加える、フタを閉めて軽く混ぜ合わせば完成。お風呂上がりやリラックスタイムに、30分かけてマッサージすると、心身のトラブルを優しく包み込んでくれます。30分もマッサージできる時間がない時は、アロママッサージは15分でも効果があったとの研究もありますので、15分以上を目安にマッサージしてみてください。
NEAL’S YARD「アロマティックマッサージオイル」
NEAL’S YARD(ニールズヤード)から発売されている「アロマティックマッサージオイル」は、ラベンダーやゼラニウムがブレンドされ、リラックス感あふれるハーバルフローラル調の香りが人気で、30年以上愛され続けるロングセラー商品です。また「セルフマッサージ」のための書籍も発売されているので、マッサージ方法がわからない方にオススメです。
更年期障害に対する研究【アロマ・運動・筋弛緩法】
アロマオイルの香りを1日1回、1回1〜2時間使うことで、「自分自身が健康でない」と感じる不安やストレス、更年期症状によって「家族や友人と交流をしたくない」などが改善された研究が発表されています。
アロマオイルは、鎮静・リラックス効果が期待できるアロマオイル6種類(ラベンダー、ローズウッド、オレンジ、ベルガモット、ゼラニウム、ラベンサラ)の中から、参加者のその日の気分によって使うアロマオイルを決められました。アロマオイルはアロマディフューザーを使って、香りを吸入しています。研究内容を詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてください→更年期障害ストレスには何が効果的?【アロマ・運動・筋弛緩法】
更年期障害に対する研究【アロマ・運動・筋弛緩法】に対する私見
研究ではアロマテラピーだけでなく、有酸素運動や筋弛緩法の更年期症状に対する効果も調査しています。それぞれに効果が認められましたが、その中でアロマテラピーは「自分自身が健康でない」と感じる不安やストレス、更年期症状によって「家族や友人と交流をしたくない」などの改善が認められ、心身ともに良い影響が確認されています。
生活の木「アロモアミニ」
研究ではラベンダー、ローズウッド、オレンジ、ベルガモット、ゼラニウム、ラベンサラのアロマオイル(精油)を、超音波式の「アロマディフューザー」で使用されました。生活の木から発売されている「アロモアミニ」は、水に薄めたり、熱をかけないため、アロマオイル本来の心地よい香りをしっかり楽しむことができるのでオススメです。またコンパクトで可愛らしいデザインになっているので、家のインテリアとして置いても良いと思います。
プラナロム /健草医学舎「マッサージオイルAタイプ」
研究の中では、有酸素運動には「肩こり」や「腰痛」の軽減効果、筋弛緩法に「のぼせ」や「だるさ」などの更年期症状の軽減効果が確認されています。アロマテラピーとは異なる効果がありますので、組み合わせて行うと良いと思います。運動をするときに役に立ってくれるのが、プラナロム/健草医学舎の「マッサージオイルAタイプ」です。筋肉の痙攣や痛みを抑える作用があるラベンダー、ローズマリーカンファー、イランイランなどがブレンドされていて、甘くスッキリした香りが特徴です。運動前後に使うことで、筋肉痛の予防や、痛みを翌日まで持ち越したくないときなどに活躍してくれます。
更年期障害に対する研究【女性ホルモンに対する影響】
ゼラニウムとローズオットーのアロマオイル(精油)の香りを20分間使うことで、唾液中のエストロゲン(女性ホルモン)が増加した研究結果が発表されています。
研究内容を詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてください→【更年期障害の原因】女性ホルモンに対するアロマオイルの効果
更年期障害に対する研究【女性ホルモンに対する影響】に対する私見
更年期障害は、女性ホルモンの減少によって症状が起こるとされていますが、アロマオイル(精油)の香り使うことによって、女性ホルモンを増やす効果が期待できることがわかりました。先ほどご紹介した研究の中でも、ゼラニウムやローズのアロマオイルを使用した際に、更年期障害の症状が改善していますが、女性ホルモンを増加させることによって、症状を抑えてくれる働きがあるのではないでしょうか。更年期の女性においてアロマテラピーは心身ともに強い味方なのです。
生活の木「 有機ダマスクローズ」
ローズは甘美で優雅な香りやさまざまな効果から、女性人気が高く憧れのアロマオイルです。ただ高価なアロマオイルであるため、なかなか手が出せないかたも多いのではないでしょうか。生活の木から発売されている「有機ダマスクローズ」は、1mlと少量から発売しているのでお値段を抑えることができ、なおかつオーガニックのローズを使うことができますので、ローズオイルを使いたい時にオススメです。
いかがだったでしょうか?
「【記事まとめ】更年期障害研究での効果的なアロマテラピーレシピ」をご紹介させていただきました。アロマテラピーは多くの更年期障害に対する研究が行われ効果が確認されてきました。もしみなさんがアロマテラピーを行う時は、使用するアロマオイルはオーガニックで良質なものを選ぶようにしてください。ご紹介したアロマテラピーの研究で使用されているのは、良質のアロマオイルである精油が使われています。お悩みの解決にアロマテラピーを使用するのであれば、少し値段が高くても良質なものを選ぶことがオススメです。良質なアロマオイルの見分け方や、アロマテラピーに効果がある理由、嗅覚の働きを詳しく知りたい方はこちらを参考にしてみてください。